出版社:マガジン・マガジン

発行年月日:2011年10月10日

椎名誠 自著を語る

沖釣り雑誌『つり丸』に連載している、その名の通り雑魚釣り隊という、名前からしてそそも情けない集団が日本のあちらこちらに出没する。編集部が貧乏で予算がないのでわれわれはいつもキャンプに自炊。釣れたら喜び、釣れないと互いに罵り合うという、わかりやすい、そうしてつくづくバカバカしいけれどもストレス解消にはもってこいのはちゃめちゃな釣り行脚を語っている。 最初の頃はそれこそクサフグとかベラとか、食ったら死んでしまうキタマクラなどという雑魚中の雑魚をつっていたわれわれも、バカはバカなりに経験を積んだらついにマグロまで釣ってしまったというのが今回のハイライトである。雑魚釣り隊だから雑魚を釣るのが使命なのに、マグロなんか釣ってしまうと刺身にしかならねえじゃねーか、と釣った奴を罵る、罵りながら、けっこううめいうめい、と言いながら酒を飲む喜びは、釣った奴も釣れなかった奴も同じなのである。

b0435

わしらは怪しい雑魚釣り隊 マグロなんかが釣れちゃった篇

出版社:新潮社

発行年月日:2012/12/01

文庫

旅する文学館 ホームへ