出版社:新潮社

新潮選書

発行年月日:2008年05月25日

椎名誠 自著を語る

『十五少年漂流記』は、スウェン・ヘディンの『さまよえる湖』と並んでぼくが子どもの頃にむさぼるように読んだ本のひとつだ。作者のジュール・ヴェルヌはSFの父と呼ばれる人であり、やがて自分もSFを書くことになるのだが、子供の頃はそのような背景はわからないから、この痛快な世界的に有名な小説は本当のことなんだろうと思って読んでいた記憶がある。やがて全訳ものを読み、年齢も上がってきていたからフィクションであるということを理解したが、この本がひとつのきっかけとなって、ぼくはその後あちこちの島旅や冒険ごっこなどを始めたのだ。この本は、ヴェルヌが十五少年たちが漂流した島のモデルとされているマゼラン海峡のハノーバー島という島から、ニュージーランドのチャタム島という島まで、実地踏査的に訪ねていく旅の話だ。現場に行くと、ヴェルヌの研究書などで言われているマゼラン海峡の島がモデルではなく、ニュージーランドにある島が絶対にそのモデルだということがよくわかった。それをじわじわと体験的に実証していく本である。(2011年 椎名誠 語りおろし)

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