出版社:講談社

文庫

発行年月日:2007年06月15日

椎名誠 自著を語る

ぼくの書く小説としては比較的珍しい普通小説である。私小説でもなくSFを含んだ超常小説でもないという意味だ。ミステリーでもなく、しいていえばゆるやかな恋愛小説ということになるだろうか。書こうと思った動機はタイトルだった。『風のまつり』というタイトルが先に頭に浮かび、その風景が目に見えるような気がした。舞台はひとつの島で、そこに主人公が行くところから話が始まり、一か月ほど滞在して帰るところで話は終わる。モデルとなった島は、わが人生でいちばん行っている八丈島で、作家になった初期の頃、実際にこの島の大きなホテルで10日間ほどカンヅメになって小説を書いていたことがある。そのとき体験したことがベースになっている。(2011年 椎名誠 語りおろし)

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