出版社:講談社

発行年月日:1990年04月20日

椎名誠 自著を語る

ぼくがガリ版刷りで『月刊おれの足』を出していたとき、沢野は対抗して『月刊わたしの手』を出していました。その創刊号に注文を受けて書いた童話が「なつのしっぽ」の原型でした。今思うと、その頃は余裕をもって、本を作るのを楽しんでいた時期ですね。沢野もなんだかんだと文句をいいながら、この本作りを楽しんでいたように思います。本が出たあと編集者と「しっぽ」シリーズを出そうと話をして、ぼくは『うみのしっぽ』がいい、なんて言っていたんだけれど、同じ名前の作品があったり、担当の人が産休で長期休暇に入ったりして、結局うやむやになっています。(椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)

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