出版社:新潮社
文庫
発行年月日:2019年08月01日
椎名誠 自著を語る
童話は、読んでよく考えると不思議な話がたくさんある。「桃太郎」はなぜ桃の中から生まれたのか。川を流れているとごろごろして中にいるのさえ大変だったろう。お乳はないから多分桃を食べていたのだろう。よく熟れているならいいけれど、岩などにぶつかると割れる可能性もある。でも「カボチャ太郎」でなくてよかったかもしれない。カボチャは生のままでは食べにくいし、急流ではくるくる回ってしまいそうだ。もっとも不思議なのは「かぐや姫」で、こいつは前から怪しいと思っていた。おじいさんが偶然見つけてくれたわけだけれど、その後のわがままで自分勝手な言動は誰しもがいやな女と思っていたはずだ。この本はそういうことに正面から挑んで書いたものが最初の章に固まっている。「ここ掘れワンワン」の話には、われながら重要な疑問点が掲げられていると思う。ぜひ読者も解読を。