出版社:新潮社
作:ジュール・ヴェルヌ 訳:椎名誠・渡辺葉
発行年月日:2015年08月30日
椎名誠 自著を語る
小学生の頃からお世話になっているジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』。小さい頃から胸躍らせて読んでおり、この傾倒によって類型の探検、冒険ものに目覚め、やがてはそういうものを書いていくことになった。原文はフランス語で、それを英訳したものが世の中に出回っている『十五少年漂流記』だった。いろんな訳者、いろんな出版社によってたくさん出されたが、調べてみると全部同一の英語翻訳本から派生しているのだ。フランス語から現代的感覚で新たに翻訳できないものかと考えていたら、我が家のことをいろいろ知る新潮社の編集者から連絡があり、ニューヨークに住んでいるぼくの娘が実はフランス語もできるので、その娘さんにこの時代になって初めてのフランス語からの翻訳をしてもらい、ぼくが意訳をし、親子共同の翻訳で新刊を、という依頼だった。ニューヨークでの仕事が忙しい娘だったが、出版社とぼくのほうからも依頼して半年ぐらいかかったと思うが、新たな翻訳をしてもらった。この新しい訳書の仕事は楽しいものだった。