艫(トモ)の飾り
パプア・ニューギニア・キタヴァ島(トロブリアンド諸島)
ニシザワ「これまた色鮮やかな。なんでしょう?」
原産地は、パプア・ニューギニア、トロブリアンド諸島にあるキタヴァ島だね。
イギリスの文化人類学者、ブロニスワフ・マリノフスキーが書いた本に『西太平洋の遠洋航海者』というものがあってね、海洋民族を綿密に取材して書かれたものなんだ。
レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』と対をなすくらいの名著、重要な本だと思う。
その『西太平洋の遠洋航海者』の中でも紹介されている「クラ」という交易システムがあってね、トロブリアンド諸島の島々を男たちが航海カヌーで何年もかけて回っていくんだ。
赤い貝から作る「ソクラヴァ」というネックレスと、白い貝から作る「ムワリ」というブレスレットをバトンのようにして回るんだけど、「ソクラヴァ」はクラの交易圏内を時計回りに、「ムワリ」は反時計回りに動くんだよ。
これは、その航海カヌー、帆船だね、その艫(トモ)に付ける“飾り”。希少だろ。
ニシザワ「大きさは…1メートルくらいですかね」
そう、木製なんだけどね。ホント重たいんだ。
これも気合いで持って帰って来た(笑)。
キタヴァ島の泊まっていたコテージ部屋に飾ってあってね、もうどうしても欲しくなってね。コテージの親父と交渉の上、買った。
結構ふっかけられたと思うけど、100ドルくらいだったかな。
模様も面白いだろ。木に彫って塗ってあるんだ。
ニシザワ「しかしなんでこうも持って帰るのが大変なものばっかりお土産にするんですか?」
うむ、あの頃はね。でかいモノにとにかく目がいっていてな。
これも木枠をわざわざ作って梱包して日本に持って帰ったからね(笑)。
海外からの土産というのはそれくらい根性がいるものなのだよ、ニシザワ君。