200杯目:メシがうまくてオロロンでした

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波が高くちょっと揺れたがいい航海だった
北海道羽幌町/竹田聡一郎撮影
(“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック)

椎名島に行ってきたの?

竹田ここの97杯目で椎名さんに「どんどん行きなさい」と促されたので、天売島へ。

椎名そうか、よかったなあ。

竹田よかったです! せっかくなので『波のむこうのかくれ島』(新潮社)を再読せず、先入観なしで島を一周してきました。

椎名うん、誰かの旅を追いかけるのも時にはいいけど、まずは自分の目で見るのは大切だ。一周ってどれくらいだっけ。

竹田12kmです。4時間くらいかけてゆっくりと歩きました。日差しも風も強くて気持ちのよい散策だったなあ。

椎名オロロン鳥には会えた?

竹田国内希少野生動植物種、ウミガラスですね。僕は9月に行ったので、もう既に島を去っていたと思われます。

椎名そうか。せっかくだから飛んでるのを見たいよなあ。

竹田『波のむこうのかくれ島』で椎名さんは「天売島海鳥調査」を引用し、1963年には8000羽がいたことを紹介しています。

椎名いま何羽?

竹田環境庁が昨年秋に発表した資料によると「国内唯一の繁殖地である天売島での繁殖状況を調査した結果、最大飛来数122羽、つがい数23つがい、ヒナの巣立数14羽を確認しました。最大飛来数は過去最大値を記録し、繁殖成績が悪化した昨年度から、つがい数、巣立ちヒナ数ともに回復傾向となりました」ですって。

椎名おお、デコイ作戦も一定の成果を出してるんだな。

竹田模型を岩棚に置くと仲間と思ってオロロン鳥ご一行が集まってくる。デコイ作戦。単純ながら効果あるんですね。島の西側には海鳥観察舎が設置されているのですが、双眼鏡で岩棚の様子が覗けて面白かったです。

椎名ウトウはどうだった? 貫禄もありつつ珍妙な、なんとも愛嬌のある鳥だよなあ。

竹田ウトウもやはり島を離れてしまった後だったので、あとで椎名さんの文章を読んで生態を確認しました。

椎名ウトウとウミネコとリクネコは複雑な相関関係なんだ。

竹田オロロン鳥を脅かすカラスやリクネコ、つまり猫の対応に椎名さんは「人間の余計なヒューマニズムが君臨している」と書いていますが、とても共感できました。

椎名でも今は一個人の意見でも下手なことを言えば、すぐにそれぞれの筋の人が文句をつけてくるからなあ。

竹田多様性というのも困ったもんですな。あとは散歩してて「マムシに注意」の看板も見つけましたし、周回道路にあるトイレに「ウトウが入りますのでドアは必ず閉めてください」という貼り紙もありました。

椎名ウトウは巣穴が地面にあるしなあ。メシサケ方面は?

竹田ふふふ。旅館のメシにしたのですが、羽幌特産甘エビの入った刺身盛り合わせ、フグ唐揚げ、アワビ、タコの酢の物、マグロ胡麻和え、ウニ汁! 瓶ビール3本に持ち込み国稀!

椎名豪華だな。ちょっとよこしなさい。

竹田ダメ! 椎名さんだってウニクラ丼を食べたんだから。

椎名ケチだなあ。

竹田6月から8月くらいまでは生ウニもあるし、オロロン鳥もいるしウトウの帰巣も見たいので、次はジメジメした東京の梅雨から逃げるくらいのタイミングで行きたいです。

椎名キャンプ場はないの?

竹田2023年に閉鎖になっちゃったんですよ。星を見ながらビールやりたかった。でも手前の焼尻島には無料のキャンプ場があるようなので、そっちもいいなあ。サフォーク種のジンギスカンが食べられるようなので。

椎名島はいいよなあ。

竹田ところで、実はこの最近のシーナ200回に到達しました。

椎名すごいじゃないの。乾杯しよう。

竹田うす、引き続きよろしくお願いします。

椎名誠:旅サケ作家。芸術の秋なのでフランス映画『白い馬』(Crin blanc/1953年フランス)を観た。

竹田聡一郎: 麦酒がぶ飲みライター。読書の秋なので『潮音』(宮本輝/文藝春秋)を読んでいる。

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