159杯目:とある夕べ、琉球で泡盛を熱く語ってきた

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「私は池間酒造が好きです」とシーサーは言った
沖縄県宮古島市/竹田聡一郎撮影
(“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック)

椎名那覇、同行してくれてありがとう。

竹田いえいえ。首都圏では「今季一番の冷え込み」だったらしいので、フーチェビーサながら柔らかな南の風に吹かれる最高の日々でした。

椎名沖縄はやっぱりいいねえ。

竹田泡盛もうまかった。

椎名君はアホみたいに飲んでたな。

竹田なんたって椎名さんが名誉顧問を務める泡盛マイスター協会主催の宴会ですから、飲まないほうがおかしい。

椎名なんの銘柄がいちばんうまかった?

竹田ええとですね、現場で多くの酒造の方にご挨拶いただき、たくさんご馳走になったので特定の銘柄を挙げるのは控えます。

椎名大人じゃないか。

竹田泡盛って思ったより多くの飲み方があるのは勉強になりました。

椎名普通はロックか水割り?

竹田ですね。うっちん割なんかもスタンダードですかね。お湯割、炭酸割りをそれぞれ好む方も多いとか。

椎名つまり幅広いと。

竹田そうっすね。先日の「琉球と泡盛を熱く語る夕べ」の後、打ち上げ宴会が牧志の「BAR Gold Dust」だったじゃないですか。

椎名クラムチャウダーがうまかった。

竹田名誉顧問としては泡盛と言うべきでは。

椎名ああ、そうか。でもうまかった。

竹田まあともかく、そこで「ゴーヤカチャーシー」という泡盛カクテルをいただいたんです。

椎名どんなの?

竹田泡盛にライムをしぼって、すりおろしゴーヤとトニックウォーター。あるいはフレッシュゴーヤスライスやピクルスを使う店もあるとか。

椎名ふーん、うまいの?

竹田ゴーヤの苦味が効いてよろしいです。シーナ秘書のWさんは何杯もグビグビしてました。

椎名ははは。あの人、淡々と飲むからね。

竹田なんでも新酒の飲める時期に制定された11月1日の「泡盛の日」に合わせて公募したらしいんですよ。やっぱり県民酒なんですね。

椎名だっからよお。

竹田ちなみにカチャーシーは踊りの意味はもちろん、うちなーぐちの「混ぜる」と海の「シー」もかかっているとか。

椎名ふーん。

竹田無形文化遺産に登録されるといいですね。そろそろ発表されるはず。

椎名それで盛り上がるならいいことなんだろうな。

竹田決まったら新宿三丁目「海森」で乾杯しましょう。

椎名「ありっ、乾杯」って言葉があるくらいだから泡盛は乾杯が似合う酒だよな。

竹田確かにひとりで飲むよりもみんなで飲むほうがうまい酒かも。

椎名しっかり場を作ってくれる酒でもある。

竹田場を作る?

椎名ウイスキーなんかも違う意味でそうなんだけれど、スコッチ飲みながらバカ騒ぎすることは基本的にない。

竹田あー、なるほど。あくまで我々はですが、シングルモルトなんかは焚き火にとっておいてぽつぽつ喋りながらゆっくり舐める。泡盛も酒としてシチュエーションが明確な酒だと。

椎名そうそう。この前の宴会みたいに適度に賑やかな席に似合う。

竹田いいこと言いますね。さすが名誉顧問。

椎名なめんなよな。

竹田椎名さんが講演している時にちょっとだけ、泡盛マイスター協会の小嶺直正会長と立ち話したんですよ。

椎名そうだったのか。

竹田昨今の飲み方とか酒蔵の状況とか教えてもらったのですが、最近は泡盛メーカーの手がけるウイスキーも注目されているようですね。最古の泡盛酒造「新里酒造」がパイオニアなのかな。

椎名台湾にも有名ウイスキーあるでしょう。そう考えると不思議ではないよ。

竹田KAVALANですね。小嶺会長とまさにその話になって、会長は宜蘭県にも何度も足を運んでいるらしいです。

椎名視察?

竹田どうなんでしょうね。でもすごい楽しそうに話してくれたので、視察というより趣味なのでは。

椎名酒強そうなヒトだったね。

竹田そうそう。沖縄の方らしい強く優しく愛嬌ある方でしたね。ということで私はオキナワンウイスキーの調査に入ります。

椎名頼む。オミヤゲを忘れるな。古酒と島バナナもついでに頼む。オリオンビールも。

竹田なんか多くないすか?

椎名なんでかねえ。

椎名誠:酒呑み作家。デビュー作『 さらば国分寺書店のオババ 』(情報センター出版局)出版から45年が経った。著作は300冊を超える。

竹田聡一郎:麦酒フリーライター。デビュー作『BBB』(講談社)出版からまだ14年しか経っていない。著作はたった2冊。次作の噂さえない。

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