140杯目:大鰐のそばもやしを追え

140杯目

今年も暑い。冷やしモヤシはうまいんだろうか。
東京都中野区/椎名誠撮影
(“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック)

竹田名古屋講演おつかれさまでした。拝聴したかったのですが、別件で北海道でした。涼しくて快適でした。

椎名バカめ。こっちは講演終わってから天野が予約してくれた高級焼き鳥店でビールとハイボール三昧だったぞ。

竹田なんか写真が送られてきました。なぜか太陽さんもいたみたいっすね。

椎名うむ、やはり旅先で飲むビールはうまい。せせりにレバーにはつに砂肝だ。

竹田お言葉ですが、こっちだって北海道で豚しそに手羽先に味噌ホルに牛サガリに鳥精肉をやりましたよ。ビールはもちろんサッポロクラシックの大ジョッキ!

椎名うぬぬ。しかし大ジョッキは途中からぬるくなる。

竹田その前に飲みます。おかわり!

椎名バカめ。しかしいろいろな焼き鳥があるんだね、北海道には。

竹田北海道は「焼き鳥」と言いながら豚串のケースも多いんですよ。だから焼き鳥屋といっても豚しかない店も珍しくはありません。普通の「もも」や「むね」は「鳥精肉」と表記されるし、「はつ」も「鳥はつ」だったりします。

椎名へー。面白いね。うまいの?

竹田もちろん! ビールはサッポロクラシッ……。

椎名わかったわかった。いちいち立ち上がらなくてよろしい。

竹田シメにラーメン行ったんですよ。

椎名まあそれは必然ですな。

竹田もやしがどっさりのった味噌ラーメンをはふはふやって、ビールはもちろん……。

椎名もういいよ。

竹田失礼しました。そのどっさりのったもやし炒めがなんだか妙にうまくて、北海道でもやしと言えば『 モヤシ 』(講談社)ですわ。

椎名あれは半分実話なんだ。

竹田そうでしょうね。シーナ痛風マコト。

椎名なに笑ってんだ。

竹田作中に登場する主人公の奥様のセリフなんていかにも一枝さんが言いそうですし、小田さんは明らかに太田トクヤ。妙竹林な弥次喜多道中みたいなイメージで読める、好きな作品です。

椎名そうかあ。

竹田懐かしくなって、改めてこの「椎名誠の仕事 聞き手 目黒考二」で 該当ページを読んだんですが、この「大鰐温泉のそばもやし」が気になります。

椎名うまいよお。長いものはたいがいうまいんだ。

竹田んな極端な。でも根っこまでうまそうな感じは、せりみたいですね。調べてみると、シンプルなもやし炒めはもちろん、ホルモン炒めに使ったり、そばやラーメンに入れたりと、汎用性が高い。

椎名もやしだからねえ。

竹田ということで、もやし取材に行きましょう。

椎名大鰐温泉って山奥なんだよ。

竹田いいじゃないすか。温泉もあるし。帰りは青森の街に出て煮干しラーメン食べましょう。

椎名ううむ。魅力的な提案ではあるな。

竹田日本海側に降りて稲庭うどんからの、酒田まで足を伸ばして雲呑麺!

椎名おお、いいではないか。

竹田明日行きましょう。

椎名君は元気だねえ。

竹田小田さんならぬ、太田さんにも声かけましょう。

椎名それは嫌だ。あいつ来るとやたらと麻雀やりたがるから。

竹田しまった。でも都心は暴力的に暑いし、北に行きましょうよ。

椎名考えておくよ。

椎名誠:バカ旅サケ作家。最近は『男はつらいよ 寅次郎真実一路』が好きだ。『男はつらいよ ぼくの伯父さん』も捨てがたい。

竹田聡一郎:ビール好きのフリーライター。今年は『カラオケ行こ!』が暫定1位の映画。青春モノを撮らせたら山下敦弘監督だなあ。

<<<139杯目    141杯目>>>

旅する文学館 ホームへ