127杯目:つるつるいっぱい

127杯目

たくさん恐竜がいた
福井県福井市/竹田聡一郎撮影
(“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック)

椎名なにこの人?

竹田人じゃないっす。恐竜です。

椎名どこにいるの?

竹田福井駅です。福井に行ってきました。

椎名なんで?

竹田あぶく銭が入ったので、ボランティアなどをしつつ酒を飲んできました。

椎名どうせ酒がメインだろう。詳しく報告しなさい。

竹田富山や金沢は土地勘があるんですが、福井県って『おれたちを笑え! わしらは怪しい雑魚釣り隊』(小学館)で行った三方五湖や若狭湾しか知らないんですよ。

椎名ふーん。

竹田あの時、イカや白身魚を市場で仕入れてキャンプしたのですが、それがべらぼうにうまくて。一度、街に繰り出してみたかったんです。

椎名しかしフットワーク良いねえ。

竹田それだけが取り柄ですから。

椎名で、何を食べたの?

竹田焼き鳥と焼肉です。

椎名ん? 魚を食べたいんじゃなかったの?

竹田福井の街を歩いているとですね、なんか異常に混んでいる焼き鳥屋がありまして。「秋吉」という店なんですが、吸い寄せられるように入ると「社長、いらっしゃい」と言われるんです。

椎名社長じゃないだろう。

竹田だからこそ悪い気はしなかったです。焼き鳥の串は小ぶりなんですけれどね、だいたい5本単位で400円前後。ビールがすすんじゃう!

椎名いいじゃないか。

竹田焼肉はですね、ホルモンがメインだったのかな。鉄板に野菜と一緒に置いて焼くんですよ。イメージとしては北海道のジンギスカンみたいな。これがうまくてうまくて。福井県全域で焼肉はあんな感じなのか、引き続き調査しておきます。お酒は梵に花垣、黒龍をつるつるいっぱい!

椎名ふーん。楽しそうだねえ。

竹田一緒に行きましょうよ。

椎名福井県に行くなら勝山の左義長まつりに行きたいな。

竹田ニッポンありゃまあお祭り紀行』(カラット)で読みましたが、行ったことないんですよね。

椎名お祭り取材を多くしてきたけれど、思い入れはあそこがいちばんあるなあ。祭りって基本的には祈願とか感謝とか土地の神様に向かったものなんだよね。もちろん観光客もいるんだけれど、左義長まつりは参加している地元の人がいちばん楽しそうなんだよ。

竹田なるほど。有名な祭りはどうしても商業的になってしまいますもんね。いいこと言うなあ。

椎名俺は勝山を宣伝する人だったんだよ。正式名称は忘れたけれど、なめんなよな。

竹田ほんとだ。「かつやま“左義長”大使」になっている。

椎名あと勝山は、そばが最高にうまいんだ。辛みのある大根おろしをぶっかけるそば。シンプルがいちばん。

竹田いいなあ。うまそうだなあ。

椎名大使だかんな。

竹田大使、連れてってください。

椎名仕方ねえな。来年はみんなで左義長まつりに行こう。

竹田やったー。

椎名九頭竜川が流れる山間の街だからね。どうアクセスするか作戦を立てよう。

竹田あ、思い出した。

椎名なんだい?

竹田昔、椎名さんがそうやって「みんなで行こうぜ。バス仕立てて」と東京からバスツアー組んだら、片道10時間くらいかかって、椎名さんだけこっそり飛行機で帰ったことありましたね。

椎名余計なことは思い出さなくてよろしい。

椎名誠:酒飲み旅作家。三月場所が面白かったからまた相撲熱が増してきた。五月場所は伯桜鵬に期待したい。

竹田聡一郎:ビール偏愛フリーライター。なんで桜の花びらが缶ビールにプリントされていると買ってしまうんだろう。

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