115杯目:シーナについて読んだ

115杯目

こんなふうに今年はずっと晴れでいい
2006年、チベットの山間/椎名誠撮影(Canon EOS 5D)

竹田あけましておめでとうございます。

椎名あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします。

竹田年末年始は何してたんですか?

椎名原稿書いて、酒飲んで、映画を観ていた。いつもと同じ。

竹田娘の葉さん帰国されてたでしょう?

椎名あー、そうだね。今年も帰ってきた。彼女がいてくれたからささやかな宴が何度もできて楽しかったよ。

竹田なに食ったんですか?

椎名蕎麦も雑煮も食べたよ。あとは鍋が多かった。君は何してたの?

竹田自宅ですき焼きを食べてました。あとは神奈川の実家に顔を出してついでに箱根駅伝を観戦していました。トクヤさんと初打ちもしました。今年もやるでえ。

椎名頑張ってください。

竹田そういや年末の大掃除で本棚の整理をしていたんですけれど、昔、何度も読んだ近藤篤さんの『木曜日のボール』(NHK出版)や、『ワイルドソウル』(垣根涼介/新潮文庫)、『オーパ!』(開高健/集英社)といった大切な本がゾロゾロ出てきて、夢中で読んでしまった。椎名さんのエッセイ『ロシアにおけるニタリノフの便座について』(新潮社)も読みました。この人、アホや、と何度も思いました。

椎名懐かしいなあ。

竹田かさばるので僕の本棚には文庫本が多いんですけれど、奥田英朗さんの紀行『港町食堂』(新潮文庫)にね、椎名さんのことが書いてあって。

椎名へえ。

竹田当該箇所を読みますね。「わたしはときどき自宅でもウニ丼を食べる。丼にご飯を盛り、刻み海苔としその葉を敷き、二舟ぶんのウニを一挙に載せて醤油ダレをそろりとかけ、わしわしと食い進む(©️椎名誠)のである」という描写です。

椎名いいなあ、ウニ丼。

竹田いや、そこじゃないっす。「わしわしと食い進む」とか「ビールうぐうぐ」とか、シーナ擬態語みたいなのは同業者から見ても独創的なんでしょうね。

椎名そうなのかな。

竹田重松清さんの『ニワトリは一度だけ飛べる』(朝日文庫)では、登場人物がしみったれた酒の飲み方をする同僚に「おまえさ、生ビールを養命酒みたいに飲んでどうするのよ。椎名誠読んでる? 東海林さだお読んでる? ビールってのは、こう、気合で、ウグウグウグってさ……」と諭す場面もありました。

椎名ふーん。

竹田他の作家の作品でも、時々、椎名さんの名前を見かけることがあります。書かれることに対して何かむずがゆさのようなものを感じることはありますか?

椎名ムズムズねえ。反応がムズかしいねえ。内容にもよるだろうけれど、基本的には気にしません。

竹田そんなもんなんですね。逆はどうですか、気を使ったりするんですか? 例えば椎名さんは、エッセイの中では東海林さだおさんや嵐山光三郎さん、山下洋輔さんについて触れています。

椎名今、挙がった人は親交のあるヒトたちだから好き勝手に書いているけれど、作家だけではなくあんまり知らないヒトについて書くのは苦手なんだよね。

竹田ちょっと話がズレるかもしれないけれど、去年、『さらば国分寺書店のオババ』(情報センター出版局)の舞台となった国分寺を歩くという「【東京舞台さんぽ】「さらば国分寺書店のオババ」 椎名誠さんと〝対決〟、今は…」という記事が共同通信から出ていたんですよ。

椎名国分寺はいい街だよ。

竹田国分寺書店の入っていた場所は今はブティックになっていて、記事中には店主の「時々、椎名さんのファンが来てくれます」というコメントが紹介されています。

椎名えー、そんな人がいるのか。

竹田近くには村上春樹さんが営んでいたジャズ喫茶「ピーターキャット」があったようで、椎名ファン、春樹ファンにとって国分寺はちょっとした聖地なんですかね。今度行ってみようかな。

椎名すごい近所だったって聞いたことあるな。

竹田かつて村上さんはご自身の公式サイト「村上朝日堂」(現在は閉鎖)で「近くには椎名誠さんの本で有名な『国分寺書店』がありました」と紹介されていました。

椎名へー。

竹田確か『村上朝日堂 夢のサーフシティー』(朝日新聞社)に収録されているはずだけどな。ちょっと調べておきます。

椎名国分寺はもだいぶ変わっちゃったんだろうな。

竹田去年、小岩で飲んだの楽しかったじゃないすか。焼き鳥屋。

椎名いい店だったね。小岩は飲食店が多いんだ。

竹田あんな感じで今年は国分寺で飲みましょうよ。

椎名いいかもしれない。春になったら行こう。今は寒い。

竹田熱燗と鍋でいいじゃないすか。

椎名そうだなあ。考えておきます。

椎名誠:酒飲み作家。新年の抱負? そんなものを語ったことはない。いつもどおり原稿を書いて酒を飲む。

竹田聡一郎:麦酒ライター。そろそろ真面目に痩せようと思う。松が取れたら。いや、桜が咲いたら。いや梅雨が……。

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