110杯目:あさめしのもんだい

110杯目

二日酔いで朝メシ会場まで行けないヒト
福島県勿来町/竹田聡一郎撮影
(“チェキ” instax mini 8)

竹田頭が痛い。

椎名コロナにしては変なタイミングだな。

竹田昨日の記憶がない。

椎名バカめ。

竹田もう酒やめます。

椎名定期的に言ってるぞ。朝メシを食いなさい。

竹田はい。さっき味噌汁とおにぎりだけ腹に入れたらちょっとマシになりました。いつか、朝メシの話を椎名さんとしたかったのです。今朝は何を食べましたか?

椎名普通だよ。焼き魚とご飯と味噌汁。

竹田いいなあ。誰かが作ってくれる朝メシ。普通がいちばん。近著『失踪願望。』(集英社)によると、たっぷりのサラダとフルーツが朝食という時期もあったようですね。

椎名季節にもよるけれど、あれはあれでいい朝メシです。

竹田外での朝メシでいえば、椎名さんは『足のカカトをかじるイヌ』(本の雑誌社)や『すすれ! 麺の甲子園』(新潮社)で、小笠原の父島に建つ「ホテル・ホライズン」や、新潟市内の古町方面にある「ホテルイタリア軒」の朝食を絶賛しています。

椎名「ホライズン」はいわゆる島のホテルの直球正統朝メシといった感じで雰囲気もいいんだよ。「イタリア軒」はゴハンが圧倒的独創的にうまい。

竹田白米は大切ですよねえ。ホテルの朝メシでいえば、椎名さんが薦めてくれた盛岡の老舗「北ホテル」も良かったです。和食にしたけれど、次は洋食を食べたい。

椎名あそこもうまいね。最近はホテルチェーンも地元の店と提携したりして、場所によっては美味しい。

竹田椎名さんは八戸の「ダイワロイネットホテル」が好きですよね。確かにあそこはうまい。

椎名ホテルチェーンのバイキングって、半分乾いてしまっているソーセージとかカチカチになった干物とか黄色い泥田のようなスクランブルエッグが並んでる悪いイメージがあったんだけれど、地元産のイカ刺や季節のオシンコが並んで、とても良かった。旅先の朝メシは大切だ。

竹田近年は朝食にパンケーキを食べさせる店が日本でも増えました。

椎名ふーん。エネルギーとして摂るのは理にかなっているとは思う。俺は食べないけれど。

竹田割と理解あるんすね。「パンケーキなんて甘いもん食べるかい! ぬわーにがブルーベリーソースだ、リコッタパンケーキだ、ルポーゼってなんだ、おいコラ!」と怒り出すかと思ってました。

椎名近ごろは鷹揚、温厚、穏便のシーナで知られています。

竹田三冠Oってか。

椎名ん?

竹田なんでもありません。本線に戻します。朝メシがパンケーキでも別にいいのかって話ですね。

椎名初めて海外に行ったのがフランスだったんだよ。そこでクロワッサンとカフェオレの朝メシを体験して、「これはこれで完成されているなあ」と土地土地の朝メシに対して肯定的になった。

竹田なるほどなるほど。『あやしい探検隊 台湾ニワトリ島乱入』(KADOKAWA)で台湾にご一緒させてもらった時、朝メシのマントウ(饅頭)を椎名さんが喜んで食べていたのをふと思い出しました。

椎名あれも強い朝メシのひとつだよなあ。結局、その土地に即した朝メシがいちばんだ。

竹田今回は思いのほかきれいにまとまりましたな。最後に自宅で食べる朝メシに、ご飯、味噌汁にプラス3品をつけるとしたら何にするか教えてください。

椎名難しいこと聞くんだね。ちょっと考えるから、君から先に発表しなさい。

竹田野沢菜かキムチ、しらすおろし、焼き鮭ですかね。

椎名野沢菜「か」キムチ、というのは潔くない。しらすおろしも、厳密には2品だから残念ながら審議になってしまう。

竹田意外と細かいなあ。じゃあ、野沢菜、しらす、焼き鮭!

椎名しらすと鮭。魚が2品というところがいかにも素人だが、まあしょうがねーな。

竹田さっきから椎名さんの立ち位置が分からないっす。そちらの黄金の3品をどうぞ。

椎名辛子明太子を焼いたタラコ、残り物ものみたいなおかず的ソース焼きそば、ひきわり納豆。

竹田独自路線だなあ。食い合わせ悪い気がするけれど。

椎名今度、試しに食べてみなさい。うまいから。

椎名誠:旅する酒飲み作家。秋だが松茸などには興味はない。銀杏は好きだ。焼酎のお湯割がいい。

竹田聡一郎:旅するフリーライター。久しぶりに北米に行ったが時差ボケが昔より辛くてちょっとショックだ。

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