105杯目:雑魚釣り隊盛岡行状記

105杯目

袖に生ビールが入ってないものはコピー品です
岩手県盛岡市/雑魚釣り隊の誰か撮影
(“チェキ” instax mini 8)

椎名この写真は何?

竹田おそらく『サヨナラどーだ!の雑魚釣り隊』(小学館)ファイナル記念Tシャツの袖の部分ですね。

椎名なんでそんな写真を撮ったの?

竹田去る10月14日、クロステラス盛岡のイベント後、打ち上げあたりで誰かが撮ったのでしょう。

椎名覚えてないの?

竹田まったくもって。椎名さんはいつの間にかいなかった。

椎名お前らの狂乱宴会が終わらなそうなので「海ごはん しまか」に顔を出してきた。ハイボール飲んだ。

竹田え!? 知らなかった。僕も一緒に行きたかった。

椎名そう言うと思ってこっそり向かった。

竹田冷たいなあ。だって「モンテボッカ」での一次会が終わったのは20時近かったでしょう。

椎名生ビールがうまかった。

竹田そうそう。あそこってモルツなんですよね。これは個人的意見なんですが、食事の時はプレモルよりモルツのほうがさっぱりしていていいっすね。

椎名ワインも良かった。

竹田椎名さんはラストオーダーで「なみなみ注いでほしい」とか意地汚いこと言ってましたな。その後、三田農林さんが寝床として提供してくれた古民家で軽く飲んで、その時点で21時過ぎ。そっから3軒目ってことか。強い内臓持ってますねえ。

椎名トクヤたちも直前までいたって聞いたぞ。

竹田そうそう。一次会が終わって三々五々、夜の盛岡に繰り出していったんですよ。

椎名報告しなさい。

竹田前日から飲み続けていたコンちゃんや童夢、あとは盛岡まで自転車漕いで来た三嶋は早寝してましたが、ザコは謎に涙ぐみながら城址のお堀沿いに歩いてゆき、ベンゴシと快は古民家に顔を出してくれた三田農林の林太郎社長と盛岡のスポーツ事情について缶チューハイ片手に熱く語っていました。

椎名ふんふん。

竹田歯ブラシ工場長のヤブちゃんと、“さんぼんがわ”こと川野のみっちゃの河内コンビは、東北のウリーガーと共に美人女将のいるおでん居酒屋のカウンターへ。別の小料理店で地酒「赤武」をしこたま飲んだ帰りの太陽とケンタローがその店の前を通りかかり合流を企てるも、ラストオーダーの時間で断念。

椎名その時点で何時?

竹田23時くらいですね。ケンタローがベロベロで迷惑大声とっつぁん化したので、ヤブと太陽はすぐさま離脱したのですが、逃げ遅れたみっちゃんが「盛岡でいちばんのスナックに連れていってくれー」と絡まれてしまったと聞きました。

椎名“さんぼんがわ”のみっちゃんはスナック好きなの?

竹田大好きですね。趣味はスナック、特技もスナック。たぶん産湯もスナックのシンクだった、スナック黒帯野郎です。

椎名なんだかよく分からない説得力があるな。

竹田ふたりで繁華街に繰り出して、みっちゃんはやしきたかじんを、ケンタローは上田正樹を歌い上げて満足したようです。

椎名やっぱアホやねん。

竹田盛岡の秋はやかましい夜やね。

椎名レポートありがとう。

竹田みんなアホでしたわ。

椎名そう言う君は何をしていたんだい?

竹田ん、どうだったかな。まあ、適当に。

椎名怪しい。詳しく話しなさい。

竹田ゴミ拾いをしたり。大きな荷物を持ったお婆さんを駅まで背負っ……。

椎名舌を抜くぞ。

竹田閻魔や。まあ、どうせバレるので正直に言います。私はですね。一次会でビールとワイン、二次会で酎ハイとビール、そしてヤブちゃんたちに合流して美人女将の店で日本酒を楽しく飲んでました。

椎名いいじゃないの。

竹田美人女将が本当に素敵な方だったんですよ。だから飲み過ぎて途中から記憶を失い、気づいた時には古民家で寝ていて。

椎名あほや。

竹田知らない番号からの電話で起きたんです。それが24時くらいですね。

椎名誰からの電話?

竹田分からんのです。「竹田聡一郎さんの携帯電話でしょうか?」って。若い男性の声で。

椎名スリルあるな。

竹田僕も緊張してきて、次の言葉を待つと、彼は「先ほどお財布を拾ったのですが」と。

椎名落としたの?

竹田そうみたいっす。僕は名刺を財布に入れているので電話くれたんですね。近くのコンビニに待ち合わせて取りに行くと、スニーカーとジーパンの似合う物腰の柔らかな好青年が待っててくれて。

椎名ちゃんとお礼したか?

竹田それがですね、もちろんしようと思って、財布には一応、旅の最中なので10万円くらいは入ってたんです。だから「これ、裸で不躾ですが」と一万円札を抜いてお渡ししようと思ったら。

椎名まさか断った?

竹田そうなんです。「そんなつもりじゃないので。でも、すぐに見つかって良かったです」と笑顔を見せてくれて。

椎名そんな青年が日本にもまだいるのか。盛岡はいい街だなあ。感謝して別れただけ?

竹田そうなんです。お礼も受け取ってくれないし、住所聞くのもなんだし、僕も混乱していて「せめてお名前だけでも」とお願いしました。

椎名「名乗る程の者じゃございません」か?

竹田いえ、「山田です」と教えてくれました。なんとかしてお礼をしたいのです。

椎名盛岡に山田さんは2万人くらいいそうだからなあ。

竹田盛岡で僕の財布を届けてくれた山田さん、その節は本当にありがとうございました。何かお礼がしたいので、差し支えなければこの旅する文学館までご連絡いただければ。

椎名宛先は「泥酔財布紛失バカ館長竹田聡一郎」。その山田セーネンが東京に来る機会とかあればいいのにな。

竹田いいすね。新宿で接待させていただきます。椎名さんも来てくださいよ。

椎名嫌だよ。

竹田スナックもお連れしますので。さんぼんがわとケンタローも呼んじゃう。

椎名もっと嫌だよ。

椎名誠:旅する酒飲み作家。10月は大相撲がなくて退屈なのでワインを飲もうと思う。たまには白ワインもいい。

竹田聡一郎:旅するフリーライター。カープファン。いいシーズンだったので広島の地酒「神雷」を飲む。

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