104杯目:怖い嫌い

104杯目

球場の生ビールがいちばん怖い
広島県広島市/竹田聡一郎撮影
(“チェキ” instax mini 8)

竹田ここでは酒とか旅とか麺とか映画とか本とか、基本的には我々の好きなものについての話題を広げてきました。

椎名うん。

竹田たまには、怖いもの、嫌いなものを挙げてみましょう。

椎名冷えた生ビール。

竹田古典落語じゃないんだから。

椎名マグロの赤身なんかもあると怖くて震えるね。

竹田椎名さんは雑魚釣り隊の宴会などで「あ、これはまずい。ダメだ。みんな食わないほうがいいぞ」とかみんなを牽制してましたが、原型は『笑府』に近いものがある。

椎名すべては古典に通ずるのだよ。

竹田うーむ。なんかはぐらかされた気がする。では嫌なものは?

椎名酒場にいる、うるせえ親父。

竹田あー、でも僕もおそらくだいぶうるさいっす。

椎名気をつけなさい。酒場で声が大きい人はだいたいつまらない人だ。酒場阿呆デシベルという国連が定めた単位があって、それが一定の数値を超えると加盟国の酒場にはすべて出入り禁止になる。

竹田また適当なことを。飲食店で言えば椎名さんはエッセイ『殺したい蕎麦屋』(新潮社)で、いろいろとイチャモンをつけております。

椎名蕎麦なんて本来、庶民の食べ物なんだぜ。ただのモリソバが1000円をゆうに超える。ソバ1本60円。どういうことなんだ、えー、オイ。説明しろ!

竹田僕に怒らないでください。落ち着いて生ビール飲んでください。

椎名ああ、生ビールは怖いなあ。ありがとう。

竹田作中の「五回の箸の上げ下げで食べ終わる」という表現も、とてもいいですねえ。

椎名ソバツユじゃなくて、渓流の水で蕎麦を味わう店もどこかにあったなあ。バカだなあ。

竹田すげえ怒るじゃないすか。でも飲食店は「こちら餃子になります」ですとか、ちょっと違和感を抱くポイントは多いですよね。

椎名ひき肉とキャベツと餃子の皮を持ってきて、「こちらがこれから餃子になります」とでも言うなら許してやるけど。

竹田そうですね。でも「はいそうですか。分かりましたが、腹が減ったので早く作ってください」と言い返すと思います。僕は個人的に「肉寿司」と「肉バル」全般は、嫌いっていうか信用できないんですよね。

椎名近頃は多いの?

竹田増えた気がします。でもたぶん美味しくない。あとは酒場だと、タバコの煙はすごい嫌ですね。吸える店を自分で選んだので仕方ないですが、煙の行方は気にして欲しい。

椎名いつまでも吸いかけを置いておく人も理解できないよな。

竹田そうそう。臭いし危ない。でも椎名さんは若い頃、喫煙してましたよね?

椎名うん。でも30代でやめた。昔はヘビースモーカーだったんだけど、タバコほどやめた途端に一気に嫌いになるものもないんじゃないかな。

竹田椎名さんがやめた頃、セブンスターは150円くらいだったのでは。

椎名そうかもしれない。今いくら?

竹田600円ですって。どの銘柄もそれくらいですかね。

椎名そんな高いのか。

竹田下手なランチより高額かもしれない。もはや贅沢品。その点では愛煙家には同情しますけどね。他に最近、嫌いなものはありますか?

椎名ワイドショー。レベルが低すぎる。

竹田でも、椎名さんは見てしまっていますよね。

椎名そういう時もあるが、自分がさらにバカになっていくのが分かるので、BSに切り替える。

竹田けっこう色々と挙がりますね。これ、また続編やりましょう。

椎名そうだね。またやろう。生ビールとマグロは怖いから絶対に用意しないでくれよ。

椎名誠:旅する酒飲み作家。10月は大相撲がなくて退屈なのでワインを飲もうと思う。たまには白ワインもいいな。

竹田聡一郎:旅するフリーライター。カープファン。新井監督はものすごいよくやっていると思うので広島の地酒「神雷」を飲む。

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