97杯目:北のハナレ島

97杯目

これを見上げながら飲む缶ビール(クラシック)は最高だ
北海道札幌市/竹田聡一郎撮影
(“チェキ” instax mini 8)

竹田好きですぅサッポロぉ、好きですあーなたー。

椎名ご機嫌だなあ。

竹田札幌はいい街です。

椎名涼しかっただろう。羨ましい。

竹田気温は当然ながら湿度が低いのがありがてえっす。札幌といえば椎名さんは、柏艪舎(はくろしゃ)という出版社から『ごんごんと風にころがる雲をみた。』という本を出しています。

椎名いい出版社だよ。山本光伸さんという社長が翻訳者で、ロバート・ラドラムのミステリーなんかを手掛けている。

竹田この札幌の柏艪舎もそうですし、福岡の書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)であったり、仙台の荒蝦夷(あらえみし)だったり、地方都市の出版社が強いと元気出ますよね。

椎名難しい名前の会社が多いんだね。

竹田確かに。椎名さんと近いところでは松山の創風社出版が神山恭昭(こうやまやすあき)さんの『わしの新聞』を出しています。

椎名おお、そうだそうだ。神山さんはすごいぞ。へりくだりの最上級人間みたいなヒトで、現代を逆行しているようで素晴らしい!

竹田うまくイメージできませんが、腰が低い方ということです?

椎名そういう単純なことでもないんだけれど、あそこまでへりくだることができるのは飛び抜けた才能であることは間違いない。ぜひ松山を訪ねなさい。

竹田それもいいなあ。鯛めしジャコ天道後焼酎!

椎名札幌では何を食べてたの?

竹田実は札幌ではちょっと忙しくて、クラフトビールを飲みに連れていってもらったくらいで、北のグルメは堪能できなかったんです。

椎名かわいそうに。

竹田目が笑ってますよ。しかし、その翌週には稚内で豪遊したのです。ホタテシマエビホッキホッケ! 酒は大雪鬼ころし!

椎名くそう。

竹田ふははは。椎名さんは灼熱の東京でぬるいビールでも飲んでて……。あれ? どこ行くんすか?

椎名ちょっと用を思い出したんだ。

竹田「今日は暇なんだ」って言ってたじゃないすか。

椎名わかった。じゃあもうちょっと聞こう。あとは何を食ったんだ?

竹田言うとまた帰るでしょ。

椎名早く吐いて楽になりなさい。

竹田そんな取り調べみたいな。稚内ではウニを。北見ではサガリ、つまりハラミを七輪で焼いて。あとはラムチョップも食べたなあ。

椎名重罪だなあ。

竹田そうそう。稚内に向かう時に海沿いの国道232号、オロロンラインとも呼ばれる道を北上したのですが、焼尻島と天売島が見えて。

椎名昔、行ったなあ。

竹田新潮社の『波のむこうのかくれ島』に載ってます。

椎名タルケン(垂見健吾)が写真撮ってくれたやつだな。

竹田そうですそうです。写真も文章も、ただ島に行っただけではなく、そこに生きる人を捉えているので、単純な紀行より深く踏み締めた一冊だな、と思ってました。

椎名いいこと言うじゃないか。もう少し居よう。

竹田天売島、どんなところでした?

椎名覚えてないなあ。船で行くんだっけ?

竹田高速船かフェリーで1時間前後っす。

椎名島旅ってほんの数時間で別の世界に行くみたいでいいんだよなあ。

竹田なるほど。

椎名たぶん島国日本の離島にぜんぶ行った人なんていないから、終わりのない感じがいい。旅を無限に続けられる。

竹田なるほどー。なんか説得力あるなあ。行ってみたいな。天売島。

椎名すぐ行きなさい。どんどん行きなさい。瓶のウニを買ってくるように。

竹田あれ高いんだよなあ。

椎名そろそろ気を使いなさい。

椎名誠:バカ酒旅作家。黒ビールとレバーでこの夏は乗り切りたい。ネギマもいいヤツだ。せせりとつくねも外せない。

竹田聡一郎:漂流フリー麦酒ライター。骨折のせいで生ビールのジョッキをうまく持てないので、この夏は瓶ビールで攻めている。

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