93杯目:小田原ストラット

93杯目

小田原駅西口ロータリーにおわします
神奈川県小田原市/竹田聡一郎撮影
(“チェキ” instax mini 8)

竹田少しの隙あらば物の本をば文字のあるものを懐に入れ常に人目を忍び見るべし!

椎名毎日、暑いもんな。アイスモナカでも食いなさい。

竹田暑さにやられたわけではないで御座候。

椎名何言ってるんだ?

竹田北条早雲の名言じゃないすか。

椎名この写真のヒト?

竹田そうです。この前の取材、小田原駅で合流したじゃないすか。その時に撮りました。

椎名ふーん。

竹田椎名さん、北条五代武将を全員、挙げてください。

椎名言えるわけない。

竹田日本史はお好きではない?

椎名嫌いではない。学生の頃、日本史の教科書を読むのは好きだったよ。でも、歴史って知識がある人が偉いみたいな雰囲気だから、それは嫌いだ。

竹田おお、ぐさりときました。でも僕だって北条五代は言えない。調べておいただけです。早雲、氏綱、氏康、氏政、氏直です。

椎名政子さんはまったく関係ないんだよな?

竹田そんな知り合いみたいに。でも、そうっすね。政子さんとは時代が違います。僕の出身高校は小田原なんですけれど、そんなことは知らなかった。僕は日本史の授業は好きではありませんでした。

椎名成績は悪かったの?

竹田どうだったかな。海まで走りにいったり、部活は頑張っていたんですけれど、たぶん凡人でした。

椎名海が近いのか?

竹田小田原市内には御幸の浜という古き良き海水浴場があって、国府津というエリアの海岸では投げ釣りが楽しめます。遊ぶのには困りません。

椎名今もよく小田原には行くの?

竹田クラス会などがあると行きますが、最近はあんまり機会がないですね。むしろ箱根とか伊豆で取材がある時に寄るくらい。

椎名あのおでん工場も小田原?

竹田いくつか訂正しないといけないですが、おそらく椎名さんのおっしゃっているのは鈴廣ですね。もちろんおでん種も扱っているけれどメインは蒲鉾。水産加工会社。そうです、小田原市内にあります。

椎名けっこう広いんだね。

竹田箱根の玄関口であるので温泉と山があり、酒匂川という適度な大きさの川が流れ、あとは東側には曽我という丘陵地帯が広がります。曽我には大きな梅林があって梅が名産です。昔、小田原城址公園の動物園にいた象はウメ子という名前でした。長い鼻を使って水や糞を客にかけるいたずら象でした。

椎名とんでもないヤツじゃないか。それよりも居酒屋関係を報告したまえ。

竹田この前、椎名さんとご一緒した駅そばの「天史朗鮨」は良店ですし、うなぎとか町中華とかホルモンとか気の利いた店があるんですよ。あとはそれこそ小田原おでんが最近は有名になりつつあって。

椎名何が違うの?

竹田地産の練り物が必ず入っていて、梅味噌だれで食べるところです。

椎名焼酎に良さそうですなあ。

竹田良いです!

椎名お、きっぱりしてるね。三島に行ったのって去年だっけ?

竹田今年ですね。今年の1月。

椎名あそこにもいい居酒屋があったし、まぐろがうまい沼津もいい街だった。相模国や駿河国は人々の往来が昔から多かったところだから独自にいろいろ発展するのかもね。

竹田そうかもしれません。小田原は城下町であり港町だから、特にユニークかもしれません。5月の大型連休には「北條五代祭り」というのがあって武者行列が城下を練り歩きます。

椎名面白そうじゃないの。

竹田じゃあ今から小田原おでん食いにいきません?

椎名何が「じゃあ」なのか分からない。暑いから嫌だ。買ってきてくれよ。

竹田守谷と柳屋という2大あんぱんもあるんですよ。

椎名じゃあそれも。

竹田ほら、椎名さんも「じゃあ」って言ってるじゃないすか。じゃあ一緒に行きましょう。

椎名毎日、暑いもんな。象に水をかけてもらいなさい。

椎名誠:バカ酒旅作家。79歳になった。抱負なんてない。マルエフの黒がうまい。

竹田聡一郎:旅してビールを飲み続けるフリーライター。エスコンフィールドはいいところだ。

<<<92杯目    94杯目>>>

旅する文学館 ホームへ