91杯目:あっり乾杯
都会は蒸し暑いので南が恋しい
東京都渋谷区/椎名誠撮影
(“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック)
竹田沖縄は暑かった。
椎名梅雨は明けたの?
竹田例年、慰霊の日くらいに明けるらしく、今年もまさにそのタイミングだったようです。
椎名日焼けした?
竹田ピリピリと背中が痛いっす。
椎名那覇にいたの?
竹田1週間いましたー。オリオンぐびぐび。最近はIPAとかクラフトラガーとか、いろいろ種類が増えたのでチェックするのに忙しかったです。
椎名街はどんな感じだった?
竹田多くの場所で工事や開発が進んでいる印象でした。
椎名必要なものとそうでないものがあるんだろうな。
竹田そうかもしれません。農連市場が2017年に「のうれんプラザ」に移転し、2018年にはバスターミナルが一新。そして今年は牧志公設市場が元の場所に新築で戻ってきました。どれも綺麗で機能的なんですけど……。
椎名風情がない?
竹田そうなんですよ。でも上記3施設は市民や県民にとって大切な場所だから、地元のみなさんが使いやすいのが一番なのかもしれませんね。特に公設市場の周辺は飲み屋が増えて賑わってきた。
椎名コロナもひと段落したしね。
竹田そうすね。各種イベントも「3年ぶりに開催」なんていう文言も複数、見かけました。
椎名タルケンや西澤は元気なのかな?
竹田タルケンおじいこと、写真家の垂見健吾さんにはお会いできませんでしたが、4月に発売された彼の集大成ともいえる写真集『めくってもめくってもオキナワ』を、書店や雑貨屋、飲み屋などで見かけました。資料としても作品としても強く美しく豊かで、パラパラやっているうちに会った気になれました。
椎名確か電話もらった時に「写真集を出す」とか言ってたけど、それかな。どこから出ているの?
竹田CONTE MAGAZINEという出版社からです。首里にあるのかな。とても面白そうな会社なので、次回は編集部にアポ入れてお邪魔したいくらいです。
椎名ふうん。地方で雑誌や本づくりをする人は当然ながらみんなしっかりとした熱量やプランがあるよね。東京をはじめ、都市でキャリアを積んでそれを地元や地方で還元するケースもある。
竹田CONTE MAGAZINEもそれに近いかもしれません。あとは、ちょっと形は違うけれど「噂の眞相」の元編集長としても知られている岡留安則さんも那覇に移住して、好きなことをやりながらメディア人として活動を続けていました。
椎名亡くなっちゃったねえ。
竹田一度、雑魚釣り隊のみんなで彼の店に飲みに行ったことがあるんですけれど、本当に“噂の眞相”をいろいろ教えてくれて古酒が進みました。
椎名ははは。ともあれ、地方の出版社や書店が元気だとありがたいよな。
竹田僕は那覇のジュンク堂が好きで、沖縄に行くと必ず寄るんですが店頭に「沖縄書店大賞」の受賞作品の展開がされていて、とても興味深かったです。
椎名そんなのあるの?
竹田恥ずかしながら僕も知らなかったので調べました。2015年からはじまって、今年で9回目。第5回の真藤順丈さんの『宝島』(講談社)の大賞あたりは鉄板としても、特に沖縄関連だけに絞ることなく、小説、ノンフィクション、写真集、評論、絵本など、いい意味でジャンルが広く、受賞作一覧だけでも楽しい賞でした。県内の書店有志と沖縄教販が主催しているようです。
椎名書店も大変だろうけれど、そういう取り組みは応援したいよな。
竹田そうなんです。売り場も少し変化していて、お土産や沖縄雑貨が広く展開していて「ううむ、そういう時代か」とは思いました。
椎名なるほどなるほど。西澤には会った?
竹田平塚の不発弾こと、元「自遊人」の、西澤亨ですね。焼き鳥をおごってもらいました。いつもどおり元気でしたよ。
椎名しばらく会ってないなあ。
竹田では、宮古島で集合しましょう。今年も「宮古島文学賞」の要項が出てました。椎名さんはしっかり選考委員でしたぜ。
椎名7年連続7回目。
竹田んな甲子園みたいな。ともかく宮古島集合で。僕も行きます。
椎名雑魚釣り隊で合宿したもんなあ。
竹田そうそう。あたらす市場でゆし豆腐を買ってきて、豚の味噌漬け焼いたら、それだけでご馳走ですもん。
椎名いいなあ。パーントゥは来てほしくないなあ。
竹田まもる君が守ってくれると思います。
椎名久々にうわーっと行くかあ。
椎名誠:バカ酒旅作家。79歳になった。抱負なんてない。マルエフの黒がうまい。
竹田聡一郎:旅してビールを飲み続けるフリーライター。エスコンフィールドはいいところだ。