出版社:新日本出版社
発行年月日:2022年09月10日
椎名誠 自著を語る
1989年から朝日新聞社発行の写真専門誌『アサヒカメラ』で長期連載をしていた。写真に原稿を付け合せるというスタイルで様々なちょっとしたシリーズを続けていた。何年か経つと一冊の単行本になった。『風の国へ』『駱駝狩り』『街角で笑う犬』『ねむたいライオン』『草の国の少年たち』『椎名誠写真館』『旅の紙芝居』『風まかせ写真館』『いいかげんな青い空』『雨の匂いのする夜に』と続き、もっとも新しいものがこの『出てこい海のオバケたち』だった。しかし連載していた『アサヒカメラ』が休刊となり、長く続いていたそのシリーズの最後となった。連載や初出の関係があってそれまでの単行本は全て朝日新聞社、朝日新聞出版から出されていたが、この本はそのような経過からいわゆる自由契約対象のようになり、新日本出版社からの発行となった。同社からは2021年に『こんな写真を撮ってきた』という、著者としては大変ありがたいわが写真仕事の集大成のような一冊が出ている。今回の本はほぼ真四角のコンパクトな造りになっているので、写真の正方形のトリミングのおさまりがよく、編集に心地のいいはずみができた。半分以上が外国での写真だったが、あいかわらずぼくは旅先では子供や犬を撮っていることが多く、今回の本もそれらの風景が活躍してくれた。