44杯目:シーナさんに質問だ! 雑魚釣り隊パイロット版

44杯目

直近の雑魚釣り隊の陰気な酒席
東京都新宿区/竹田聡一郎撮影
(“チェキ” instax mini 8)

 

竹田 昨年はじめたこの「最近のシーナ」ですが、実はこの夏で1年になるんですよ。

椎名 それはめでたい。編集者や友人がけっこう読んでくれているみたいだ。

竹田 おお、そうですか。嬉しいなあ。

椎名 今回のテーマは?

竹田 それなんですけれど、ちょっとコーナー内新企画みたいなものを考えておりまして。いつぞや「東京カルチャーカルチャー」でトークイベントをやったのを覚えてますか?

椎名 いいや!

竹田 キッパリしてますねえ。この旅する文学館の企画で2回やってるんですけどね。

椎名 ふうん。

竹田 そんな他人事みたいに。1度目は2013年で『にっぽん全国百年食堂』 刊行記念ですね。2度目は2015年の雑誌「ずんがずんが」の前身である「とつげき!シーナワールド!!」の刊行祝い。どっちもビールうぐうぐ。

椎名 おれたちは祝って飲んでばっかりなのね。

竹田 いいことじゃないですか。“カルカル”は渋谷に移転しましたけれど、当時はお台場にあってみんなでビール飲んだじゃないですか。宮田珠己さんも来てくれて。

椎名 ああ! 宮田さんの外国放浪の話は盛り上がった気がする。

竹田 まさにそれです。その時、最後のほうに「シーナさんに質問だ」的なコーナーを作ったんですよ。

椎名 まあトークショーでは定番だよね。

竹田 イベントに参加してくれた男性が「最近、プロレスがつまらなくなってしまったように思うんです。プロレス好きの椎名さんにプロレスがもっと楽しくなるアイデアがあれば教えてほしいです」という質問をくれて。

椎名 すまん、まったく覚えてないぞ。

竹田 でしょうね。でも、僕は感動したので覚えているんです。椎名さんその質問を受けてマイクをむんずと握って「そんなの簡単ですよ。自分でリングに上がってしまえばいいんだ」と高らかに答えたんです。僕は退屈や閉塞を誰かのせいにして嘆くんだったら、自分で面白いことを起こせばいいんだ的な示唆に富んだメッセージだったと解釈したんです。

椎名 だから覚えてないって。

竹田 そうなのか。でもその方は「そうですよね!」ってすごい笑顔で納得したようでしたし、「自分でリングに上がる」っていいアドバイスだなあと僕は心に染みました。

椎名 そうやって俺は割といいことを言っているんだよ。

竹田 覚えてないくせに。でも、だから2年目の「最近のシーナ」は半年に一度くらい、「シーナさんに質問だ」を開催したいと思います。まず手始めに雑魚釣り隊のメンバーに「椎名さんに質問、相談あるか」とメールを回したら、すぐに反応ありました。

椎名 みんな元気?

竹田 元気ですよ。コロナに罹ってしまったメンバーも何人かいますが、無事に復帰して新宿で飲んでます。まずは橋口太陽から。「シーナさんはご自身が読んでて面白くない本ってどうされてますか?」ですって。

椎名 読むのやめちゃうよ。ちょっと気になって買った本でも、自分には合わないなと思うとすぐにどっかに積んでしまう。時々、それが雪崩を起こして大変なことになる。本や物語は相性だから娯楽として読書するなら、無理しなくていいんじゃないかな。

竹田 おお、なんかいいアドバイスですね。次は小学館「週刊ポスト」の副編集長で雑魚釣り隊のよろず世話人・新里健太郎から。「担当編集者として切実な質問です。どんな釣りをしても飽きっぽい椎名隊長はいったい、どの釣りが一番好きなのでしょうか?」ですって。

椎名 飽きっぽいかな?

竹田 飽きっぽいです。

椎名 でもやっぱり雑魚釣り隊なんだから、「これ食えるのかよ」とか言うレベルのちっちゃい魚を釣って堤防ですぐに唐揚げ。それがいちばん好きだなあ。

竹田 我々の根幹ですもんね。

椎名 小さい頃に幕張の川や海で釣ったハゼとか、北海道に別荘がある頃によく食べたチカとかは今でも食べたい。

竹田 続きまして、弁護士から。

椎名 なんか弁護士からの質問って嫌だな。

竹田 とはいえ、バカベンですから。「麻雀でふだん勝ってるくせにごくたまに負けたり、負けてなくても自分より勝ってる人がいるとやたらブーブー文句たれるヤツがいます。今後どのように付き合っていけばいいんでしょうか?」とのことです。

椎名 心当たりはある?

竹田 いや、露ほども。

椎名 先週、トクヤとバカベンと麻雀やったんだろ? 

竹田 やりました。ぼくは負けたので彼にビールを奢れとしつこく言ったら奢ってくれました。パイントで3杯飲みました。

椎名 君が勝った時はビールを奢ってあげるの?

竹田 なんでそんなことしないといけないんですか?

椎名 バカベン、その友人とは即刻、縁を切りなさい。

竹田 最後に「一升チャーハン男」こと、ヒロシより。「息子の国語の勉強を手伝っていたら、椎名さんの文章に時々、出会います。その際に『作者はこの時、何を考えていましたか?』という設問があるのですが、著者はそれに正解できるものなんでしょうか?」とのことです。

椎名 それは時々、聞かれるけれどね。ノーです。そもそも問題の作り方がおかしいよ。国語の授業なんだから「これを読んであなたは何を感じましたか? あなたならどう思いますか?」という、児童や生徒の主観であっていいと思う。

竹田 御意。それは近年、指摘される教師の質とか、思考を促さない教育につながる重い指摘な気がします。

椎名 さっきの太陽の話もそうだけど、少なくとも小説はもっと気楽に読んでどう思ったかを語り合うのが正しい気がするんだ。作者がどう思ったなんて考えなくていいから、どう感じたかをヒロシの息子はしっかり自分の言葉で表現すべきだよ。

竹田 おお。なんか思ったよりいいコーナーになりそうです。他にも海仁から旅についての質問が来ているのですが、これは僕ももっとじっくり聞きたいので、来週以降にしましょう。同時に一般の読者からの質問受付も始めますね。

椎名 よろしくお願いします。コロナで読者の声もなかなか聞けないのでいろんな質問が来るのを楽しみにしています。

竹田 では質問、相談は「椎名誠 旅する文学館」Twitter(@shiina_tabi)を活用させていただきます。そちらにリプライいただければ幸いです。ただ、すべての質問、相談に答えることはできませんので、あらかじめご了承ください。

椎名誠: バカ旅サケ作家。近著『シルクロード・楼蘭探検隊』(産業編集センター)が好評発売中。この夏は瓶ビールをグラスに注ぐトクトク音を極めたいと思っている。

竹田聡一郎:スポーツ、旅などを中心に取材するフリーライター。そろそろ海外取材もできそうだなと企んでいる。北米カーリング、カタールW杯が狙い目。あるいは両方か!

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