『こんな写真を撮ってきた』

目黒 次は『こんな写真を撮ってきた』。これは2021年に出た本です。デザイナーと版元の社長さんが、椎名のこれまでの写真集の中から写真をセレクトして再編集したもの。つまり、ベストオブベスト。だから、いい写真ばっかりだよ。でもこれ、文章が少しついているんだけど、これも引用かい?

椎名 どうだったかなあ。文章は新たに書いたのかなあ。

目黒 ところどころに長い文章もあるぜ。

椎名 じゃあ、それは再録か。

目黒 いや違うよ椎名。逆だ。

椎名 逆?

目黒 短い文章はこれまでの写真集からのたぶん引用だけど、長い文章は書き下ろしだよ。全体が4章にわかれていて、その章の頭に長い文章が付いてるんだけど、それを読むと明らかに書き下ろしだ。

椎名 そうか。

目黒 いや、よく読むと、短いやつも新しくこの本のために書いている回があるなあ。全部新たに書いたかどうかはわからないけど。でも、結構真面目に椎名が書いている痕跡がある(笑)。

椎名 どっちでもいいよ。

目黒 アサヒカメラが2020年に休刊とあるけど、なぜ休刊したのか聞いてる?

椎名 新聞社の都合だろうな。

目黒 連載は長かったよね。

椎名 最後の数年分は本にならないままなんだよ。

目黒 あら、どうするの?

椎名 この『こんな写真を撮ってきた』と同じ版元が出してくれることになった。いま、制作中だから年内には出るんじゃないかなあ。

目黒 こういう写真集は特に語るべきことはないな。ただ虚心に見てもらえればいい。ただ、椎名の写真のベストショットを集めて一冊にしただけあって、傑作写真ばかり。たとえば個人的なベスト4は、①モンゴルの少年と犬、②港で船を待つこどもたちの後ろ姿、③子供時代の犬ガクの寝顔、④ミャンマーの美しい橋。私が好きな写真でここにないのは1点のみ。

椎名 なんだ?

目黒 ほら、有名な写真。レストランの前で犬が飼い主が出てくるのを待っている写真。

椎名 ああ、あれな。

目黒 そのベスト4から、2枚だけここにあげておきます。「モンゴルの少年と犬」は、犬と少年が戯れているのがひたすら可愛いし、「港で船を待つ子供たちの後ろ姿」は、端の子供ふたりが足をあげて届かないという構図が素晴らしい。

こんな写真1(c)

こんな写真2(c)

(この対談は2022年6月14日に行われました)

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