『おなかがすいたハラペコだ。③ あっ、ごはん炊くの忘れてた!』

目黒 ええと、今回のテキストは『おなかがすいたハラペコだ。③ あっ、ごはん炊くの忘れてた!』です。『女性のひろば』の2018年4月号から2020年8月号まで連載していたものを加筆して、2020年9月に新日本出版社から刊行と。これは面白かった。いちばん驚いたのは、中世の円卓食事には食器がなかったという話だなあ。テーブルに穴があいていて、それが皿代わりになるっていのは驚いた。すごいよねこれ。

椎名 中世の食事を書いた本を読んでいて知ったんだけど、こうなると食器の歴史に関する本を読みたくなるよな。だから、次は食器の本を読む。こうやって本がどんどん広がっていくのが読書の楽しみだと思う。

目黒 読書の王道だなあ。それはともかく、食事の話に戻すけど、これ、中世の食堂の話なんだよね。ということは、一人の客が食事を終えると次の人がくるわけだ。その穴の掃除はどうしてたんだと気になるよね。

椎名 テーブルごとひっくり返して洗うわけにはいかないから、きっとその穴を布かなんかで拭うだけだろ。

目黒 しかも、そのテーブルの穴に客は手を突っ込んで手指で食べる。

椎名 熱い料理でも手づかみで食べるから、ふだんから熱い湯の中に手を突っ込んで訓練をする。

目黒 本当かなあ。

椎名 本当だよ。

目黒 我が人生の駅弁ベスト3、も興味深かった。こういうときは1位だけ発表して、2位と3位は発表なしというケースが椎名の場合、少なくないんだけど、ここでは珍しく1位から3位までをすべて発表。

椎名 ベスト3に何を選んだんだろう。

目黒 1位は、福島郡山の「海苔のりべん」。

椎名 あれな。

目黒 これ、気になったので調べてみたら、東京駅でも売ってるね。入荷時間まで書いてあるから便利な世の中になったなあ。

椎名 2位は?

目黒 盛岡の「シャケはらこめし」。第3位は「穴子弁当」。岡山だったかなあ。これは〔輝け! 郡山の「のり弁当」〕という項に書いてあるんだけど、実は別のページでは〔輝け駅弁大賞「海老づくし」〕とある。

椎名 いろいろ輝いているんだ(笑)。

目黒 「海老づくし」は東北新幹線の車内販売で買ったみたいだね。

椎名 そうだったか。

目黒 この本の中に、モナカアイスが好き、と書いてあるんだけど、どうしてモナカが好きなの?

椎名 モナカが好きなわけじゃない。アイスが好きなんだ。

目黒 『おれたちを齧るな!』の中に、椎名とトクちゃんが並んでフソトクリームを食べている写真が載っていたけど、ソフトクリームも好きだよね。

椎名 トクヤが好きなんだよ。

目黒 わかりました。

(この対談は2022年6月14日に行われました)

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