『おれたちを齧るな!わしらは怪しい雑魚釣り隊』
目黒それではインタビューを始めますが、コロナで2年半ぶりですね。この間のことは、集英社のWEBで椎名が日記を始めたので、えーと、あれが始まったのが2021年の7月か。椎名がコロナにかかったというのは、トクちゃんの電話で知りましたが、その様子がこの日記に書いてある。大変だったね。後遺症はあるの?
椎名金属音がダメになった。味覚障害は治ったけど。金属音はまだ気になるな。
目黒3日間、意識がなくて、目が覚めたら病院のベッドだったと。でも、時期的にちょうどコロナが落ちついていたときで入院できたのはよかったね。あれ、ちがうときなら大変だったでしょ。
椎名たぶん、ダメだったろうな。
目黒ところで、集英社のWEBで日記を始めたのはどうして?
椎名編集者に言われたんだよ。
目黒あれ、タイトルがいいよね。「失踪願望。」うまいタイトルだなあ。椎名が自分で付けたの?
椎名いや、あれは編集者。
目黒絶妙なタイトルだよ。ただ、遅いよね。
椎名遅い?
目黒たとえば、2022年の5月に第9回が更新されているんだけど、その中身は2022年の1月の日記なんだ。1月の日記なら2月には更新してほしい(笑)。
椎名全部編集者がやっていることだから、おれに言われても(笑)。
目黒それでは今回のテキストにいきましょう。『おれたちを齧るな! わしらは怪しい雑魚釣り隊』。週刊ポストの2017年2月3日号から2018年12月21日号まで連載されて、2019年12月に小学館から刊行されました。雑魚釣り隊シリーズの第7弾。よく続くよね。
椎名もうそろそろ打ち止めにしようと思ってる。最後にどこかの島へ行って、それを最後にしようかなと。
目黒なにごとにも終わりはあるから仕方ないね。2005年9月の伊豆大島で結成されたとこの本に出てくるけど、17年も活動してきたわけだから、それだけですごいよ。そうか、もう終わるなら、もういいか。
椎名何が?
目黒まだ続くなら、今後のことがあるからこの本を批判しようと思ったんだけど(笑)、終わるならあえて批判することもないかなと。じゃあ、逆によかった点を一つだけ。
椎名なに?
目黒文庫の解説を橋口太陽が書いているんだけど、これが傑作なんだ。何度も吹き出して、それを思い出してまた吹き出した。
椎名そんなに面白い?
目黒ここにヒントがあると思う。橋口太陽は面白く書こうと思っていないんだ。ただ事実をありのままに書いているだけ。それでもキャラクターがケッサクなら面白いレポートになる。このシリーズが時につまらないのは椎名のたとえ話がつまらないからだということは以前も指摘したけど、それは椎名が面白く書こうと思っているからなんだよね。その意識が時に裏目に出る。
椎名太陽の解説は何が面白いんだ?
目黒Pタカが同じ話を何度もするっていうのは、このシリーズで以前椎名が書いていたけど、それを聞かされる立場の話なんだ。ただ、事実を書いているだけなんだけど、橋口太陽の困惑が伝わってきて、とにかくケッサク。
椎名この本に対する感想は他にない?
目黒うーむ、ま、いいんじゃない。
(この対談は2022年6月14日に行われました)
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