31杯目:花より団子より酒

31杯目

カロリーメイトのさくらのCMが好きです
東京都渋谷区/竹田聡一郎撮影
(“チェキ” instax mini 8)
 
 

竹田 先日、ちょっと年上のご夫婦のお宅にお邪魔したんですよ。

椎名 ふんふん。

竹田 昼間だったので、緑茶と甘味を出してくれまして。

椎名 いいじゃないの。

竹田 おれ、甘いもの苦手なんですよ。

椎名 そうなの? 酒飲むから?

竹田 小さい頃もそんなに好きじゃなかった気がします。椎名さんは?

椎名 どうだろう。そんなに好きでも嫌いでもなかったな。

竹田 今は食べないでしょう?

椎名 そんなことないよ。時々、食べる。

竹田 え゙え゙?

椎名 そんな驚くことか?

竹田 椎名さんは甘いものなど食べないと思っていた。

椎名 自分で買うほど好きではないけれど、一枝さんが買ってきて食べていると1個もらったり、お茶にお付き合いしたりする程度だけどね。

竹田 なるほど。一枝さんはお酒を飲まないですもんね。和服で背筋を伸ばして幸せそうに一服されている様子が目に浮かびます。和菓子が似合う方ですよね。

椎名 昨日も一枝さんに分けてもらって、桜餅を1個食べた。

竹田 桜餅が好きなんですか?

椎名 というか桜餅くらいしか食べないかもしれない。

竹田 柏餅は?

椎名 食べない。

竹田 桜餅と柏餅の差はどこにあるんですか?

椎名 柏餅は大きすぎる。どこかガサツな容貌だろ。品がないよ。

竹田 枕元に立たれますよ。

椎名 食い切れないんだよ。桜餅は慎ましい。

竹田 よくわかりませんが。汁粉とかぜんざいとかは?

椎名 1年に一度、食べるか飲むかの機会があるかどうか。

竹田 こしあん派ですか? つぶあん派ですか?

椎名 こしあんが好きだな。

竹田 みたらし団子は好きですか?

椎名 好きだよ。でもこれも自分で買って食べたりはしない。なんだよ、和菓子の話ばかり。

竹田 いや、最初に言った目上の方のお宅で、まさに桜餅を出されまして。

椎名 いいではないか。

竹田 もちろん、美味しくいただきました。実際に美味しかったですし。でも、僕は本当に一口でいいんです。甘いもの。

椎名 わかるよ。

竹田 椎名さんの言葉をお借りすれば「慎ましい桜餅」でさえ大きくて、後半は緑茶で流し込むように食べたんです。

椎名 なるほど。

竹田 そしたらそのお宅の奥様が食べっぷりがいいと勘違いしたんでしょうね。「甘いものお好きなんですねぇ」って、どさっと4-5個追加で出してくれたんです。

椎名 ははは。「まんじゅう怖い」の逆のパターンみたいだな。

竹田 実は苦手なんです甘いもの、とはもう言えずに「ありがとうございます。でもお腹いっぱいで」とごまかし、その桜餅をいただいて帰って、母親にあげました。

椎名 なかなか大人の対応をしたじゃないか。

竹田 どうするのが良かったんですかねえ? そのご夫婦はまったくお酒を飲まないですし、おそらく世の中には和菓子が苦手な人もいる、なんてことは思ったことすらないんでしょうね。

椎名 そんなもんなのかもな。

竹田 椎名さんって講演とかイベントあると差し入れをもらうじゃないですか。

椎名 そうだね。

竹田 あれってやっぱり酒が多いですか?

椎名 圧倒的に酒だね。ありとあらゆる酒をいただく。もちろん嬉しいけれど、あまりにも酒が多いので「みんな俺のことなんだと思っているんだろう?」とフト不安になることもある。

竹田 ははは。イメージどおり大酒飲みだと思っているのでは。いいではないか!

椎名 まあ、飲むんだけどな。近い日程でキャンプとかあるとみんなで飲むからすぐなくなるしな。

竹田 他にもらうものは何があるんですか?

椎名 いろいろだね。お茶もあれば海苔もあるし、甘いものの時もある。やっぱりその土地の名産が多いかな。

竹田 何をいただくと嬉しいですか?

椎名 何をいただいても嬉しい。

竹田 その中でも強いて言えば?

椎名 ……酒かな。

竹田 酒ですか。

椎名 酒だよ。

 

椎名誠: 自称バカ旅サケ作家。酒についてのアンソロジーを編纂中で、最近は特に酒のことばかり考えている。

竹田聡一郎:フリーライター。広島カープのファン。まん防も明けたしむさしの「若鶏むすび」持ってズムスタでスクワットじゃけえのう。

旅する文学館 ホームへ