1杯目:タブーなしのチャンプルー
ピンボケしてしまったが、焚き火
千葉県いすみ市/椎名誠撮影
(“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック)
竹田よろしくお願いします。
椎名よろしくお願いします。でも何するんだ?
竹田まじすか。ちゃんと企画書作ってお渡ししたのに、読んでくださいよ。
椎名すまんすまん。
竹田椎名さんのホームページ「旅する文学館」が10年を迎えて、この夏リニューアルしました。
椎名うん、見ました。写真とか変わってたよな。なかなかいいよ。
竹田10年が経ってその「旅する文学館」の館長も交代になったわけです。
椎名ふんふん。
竹田大西郁子初代館長から不肖・竹田が引き続いで2代目館長となりました。
椎名そうか、そうだったな。よろしくお願いします。
竹田でも館長って何するんですか?
椎名そりゃ、あれやこれやだろ。
竹田椎名さんの自分の公式ホームページなのにあんまり分かってないリアクションですね。そんなことだろうと思って、新コンテンツを企画したのが、このページです。
椎名目黒とやっているほうはどうなるの?
竹田もちろん続けます。「椎名誠の仕事 聞き手 目黒考二」は人気ですし、文学館の目玉コンテンツと考えています。書籍化された『本人に訊く』シリーズは集英社から文庫化もされました。まだまだ続きます。著者を前にして「椎名、これは同じこと繰り返しているだけだよ」とか「こんなこと書くと読者は興醒めするぜ」とか、あんなケチョンケチョンに言えるのは世界で目黒さんだけです。
椎名あいつ昔からそうだからな。褒めてもらった記憶はほとんどない。
竹田目黒さんは次の10年も名誉顧問として活動してもらいます。そのシーナメグロのような人気コンテンツに追いつけ追い越せと立ち上げたのが、この「最近のシーナ」です。
椎名俺が書くの?
竹田もうすでに面倒くさそうなリアクションですね。いや、この旅する文学館のコンテンツは基本的にはどれも椎名さんの筆じゃないんですよね。それはひとつの特徴で面白いなと。だから僕がこうして月に2-3度椎名さんの近況を聞いて、まとめるという方向でスタートさせます。
椎名それはいいな。ビール飲みながらだろ。
竹田もちろんです。それが主目的みたいなもんですからね。ただ、それなりに狙いはあります。週刊文春の赤マントシリーズ、サンデー毎日のナマコシリーズがそれぞれ完結したので、椎名さんの日常を伝える媒体がないんですよ。だから取るに足らない日常を語ってほしいです。赤マントやナマコみたいに、麺類を偏愛したり、大相撲に言及したり、時事問題に触れてもいいかもしれません。ぜひアホな政治家や知事を茶化してください。大丈夫、奴らはこんなところは読んでいません。
椎名今なあ、みんな自粛で家にいるだろ。ワイドショーとか本当にくだらないからな。政治家も何言ってるかさっぱり分からない。
竹田某総理大臣とか都知事とかテレビに出てるとどうせいい情報なんてないしチャンネル変えますからね。国民が首長の顔を見たくない状態ってすごいっすよね。
椎名そんな話ばっかりでいいの?
竹田いやすいません、つい熱くなりました。でも、マスクだけ配ってやめたりとか、最後の緊急事態宣言が何回もあるとか、なんかもう怒る気も失せるというか……。
椎名案外、それが向こうの狙いかもな。
竹田なるほど。ともかくそういった政治や宗教やお金などにまつわる、デリケートな話も「あくまで椎名と竹田の酒飲み話です」という前提のもと好き勝手に話す一方で、食事や酒、ゴシップや時事ニュースなど日常に寄り添ったトピックも扱って、タブーなしでチャンプルーできれば、と思います。
椎名つまりはなんでもいいんだな。
竹田それを言われると元も子もないのですが、そういうことです。それとひとつだけお願いが。
椎名なんだ。酒は自分で勝手に飲んでくれよな。
竹田それはもう厚かましくいただいているんですけど、写真を1枚お願いしたいんです。
椎名カメラはいくつか処分しちゃったんだよ。
竹田その話も近々、聞かせてください。でもここでは、もっと簡単な懐かしのインスタントカメラでいいです。これ、富士フイルムが「instax<チェキ>」というブランドで今も展開してるんで、それを使いましょう。話題と関係なくてもいいですし、ピンボケでもいいですし、毎回、写真を載せましょう。
椎名わかった。
竹田よろしくお願いします。本来だったら実は激動だった椎名さんの近況を聞こうと思ってたんですけれど、企画趣旨の説明になっちゃった。
椎名コロナのこと?
竹田そうです。夕刊フジの「街談巷語」に載ってましたね。でもこれなんて読むんですか?
椎名がいだんこうご。お前はバカだなあ、ライターのくせに。
竹田ぐっ。どういう意味ですか?
椎名それはなあ、いろいろだよ。諸説ある。
竹田怪しい。(携帯で調べて)街談巷語は、「街のうわさ、世間のうわさ」とありますね。諸説はなさそうです。忘れてたでしょ、作家のくせに。
椎名うるせえ。俺はコロナで大変だったんだ。
竹田元気じゃないすか。とにかく次回はそのあたり詳しく聞きます。
椎名誠:喜寿を超えたバカ旅作家。酷暑をOS-1と冷えたビールで乗り切りたい。
竹田聡一郎:本業はフリーライターだが、怪しい雑魚釣り隊でドレイから副隊長まで成り上がったビール仲間のひとり。この夏は大量購入した小豆島の素麺「島の光」でしのぐつもり。