出版社:新潮社
発行年月日:1987年12月10日
椎名誠 自著を語る
『小説新潮』に連載した長編小説。この頃は、長編を粘り強く書いていましたね。その後、この本はNHKでドラマ化されたので、ベストセラーになりました。新潮社では10万部以上売れた本を革装して応接室に飾るのですが、この本はその殿堂入りを果たしたのです。ぼくにはどういうわけかシリーズっぽくなってしまう著作が多いんです。たとえば「あやしい探検隊」や「むは」シリーズがそうだし、「SF三部作」なんていうのもあるし、初めから意図したわけではないのに、書いていくうちにそうなってしまう。たぶん一冊書くごとに、何かやり残したことが出てきてしまうからではないか、と思うのですが……。この小説も、まさしく私小説路線という一つのシリーズの方向を作ることになった小説です。『哀愁の町に霧が降るのだ』で結局三冊費やしても最後まで書ききれなかった自伝的物語を、どうやって語っていけばよいのだろうとか、とあれこれ考えました。その結果、このシリーズは作品によって少しずつ書き方が違っています。ただし、それはぼくが意図した面もあるのですが、発表媒体によって変わっている部分もかなりあるんです。『哀愁〜』は書き下ろしで、『新橋〜』は月刊の小説誌、『銀座のカラス』は初の新聞連載で、『本の雑誌血風録』は週刊誌連載、という具合にね。全部バラバラでしょう。締め切りのサイクルも一回分の原稿の枚数も、かなり違うので、作品のスタイルに与えた影響は大きいですね。(椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)
新橋烏森口青春篇
発行年月日:1991/05/15
文庫
出版社:クリーク・アンド・リバー社
発行年月日:2014/5/29
電子書籍
出版社:小学館
発行年月日:2015/3/11