出版社:駸々堂出版
発行年月日:1984年07月16日
椎名誠 自著を語る
中村征夫と初めて会ったその日、いきなり対談して作った本です。ずいぶん乱暴な作り方でした。お互いに緊張してたから、あまり面白くない話をしてます。この対談の直後、ぼくと彼はテレビ朝日の仕事でグレート・バリア・リーフに行きました。ぼくはダイビングの装備を身につけて、ヘリコプターから海面に飛び降りるというとんでもないことをやらされたのだけれど、それを撮るために彼は海中で一人で待ち構えていました。いつ降りてくるかわからないのに、酸素の残量を気にしながらカメラを構えて待つというのは本当に命がけだったと思う。それもこれもディレクターが全くダイビングをしたことがない人物だったからです。危なかった。(椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)