出版社:本の雑誌社
発行年月日:1981年04月30日
椎名誠 自著を語る
朝日新聞の連載「マガジンジャック」(これはぼくにとってエポック・メイキングな連載でした)や『本の雑誌』に発表した、本や雑誌に関する文章を集めたものです。本の雑誌社のロングセラーとなっていて、目黒はこれだけは文庫にしない!と言っています。装丁がなんと山藤章二さんでした。自分で電話をして「お金がないんですけど、予算は5万円で……」と言うと、「え?」と聞き返されたので、「ジュッ、15万円です」とあわてて言い直しました(笑)。タイトルを見た山藤さんが「椎名さん、あなた落語が好きでしょ」とおっしゃたのですが、まさしくこれは落語の「味噌蔵」からとったものです。どういう話かというと、義太夫好きの旦那に下手な語りを無理やり聞かされていた番頭が、ついに耐えられなくなって味噌蔵へ逃げこむ。ところが旦那はあきらめず、蔵の窓に梯子をかけてよじのぼって聞かせるので、中の番頭は悶え苦しむというものなんですが、そのパロディを思いついてしまった。活字中毒者の目黒を蔵に閉じ込めて活字を一切読ませなくする。ひと月位たって目黒が痴呆状態になったところで、文字を一文字だけ書いた紙を窓から一枚ずつ投げ入れると、それを読んだ目黒は喜びのあまり悶え苦しむと(笑)。そんなことから、この変なタイトルが生まれたというわけですが、山藤さんはそうしたセンスをわかって下さって、ぴったりの装丁をしてくれました。 (椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)
もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵
出版社:角川書店
発行年月日:2000/04/25
文庫
出版社:クリーク・アンド・リバー社
発行年月日:2014/6/5
電子書籍