出版社:北宋社

発行年月日:1980年03月05日

椎名誠 自著を語る

『さらば国分寺書店のオババ』で幸運なデビューを果して、執筆依頼が来るようになりました。何でもいいからエッセイを書いてくれ、と来たのは憂いを含んだ美人編集者の高橋さん。とりあえず250枚書いて見せたら、これでいいと言われた。自分としてはタイトルも決まってなかったし、あと100枚は書くつもりでした。「でも面白いから、このまま出しましょう」と高橋さんに言われて結局、そのまま本にしました。「これは、みんなで怪しい探検隊のまねをしている本です」と言ったぼくの言葉から、彼女がタイトルを決めました。「怪しい」というのは、当時読んでいた色川武大さんの『怪しい来客簿』という本からとったもの。初めは『ぼくらは怪しい探検隊』というタイトルがついていたのですが、「ぼくらは」という部分がしっくりこなかったので頼んで「わしらは」に変えてもらいました。その後「わし」は「インドでわしも考えた」でも使っています。「あやしい」も「わし」もぼくの好きな言葉なんです。今見ても、とてもいいタイトルだなぁ。このタイトルは本当に気に入ってます。なんといっても語呂がとてもいいですね。こんなに長いシリーズになるとは全然思わなかったけれど、これほど楽しんで書いた本は後にも先にもありません。とても好きな本です。 (椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)

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わしらは怪しい探険隊

出版社:角川書店

発行年月日:1982/06/10

文庫

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