出版社:集英社
編:北上次郎
発行年月日:2019年07月25日
椎名誠 自著を語る
ぼくが書いている小説のジャンルの、自分ではある種の骨格だと思っているのがSFだ。自分でもSF小説のファンだからそういうジャンルのものを書けるのが嬉しいが、SFをジャンル分けするとすさまじい広がりになり、ぼくにはとても手に負えない、それこそ宇宙的な広さにいろんな物語が飛び回っている。ぼくは自分の書くSFを超常小説と勝手に名乗っている。フツウじゃない世界。ストーリーも設定もどこかずっこけている自分の中の世界を小説に仕立てるのが好きだ。文芸評論家の北上次郎がそれらの中のおびただしい短編(たぶん300編ぐらいある)の中で、これが面白いと思うという十数編を勝手にまとめてくれて出版社に話し、一冊のアンソロジーにしてくれたのがこの本だ。ある書評家はSFの私小説だと分析していた。なるほどなあ、とぼくは感心したものだ。どちらにしてもこのとんでもない話のアンソロジーが友人の手によって編まれたのは作者としてはこの上ない喜びだ。ぼく自身が面白い! と感心しているので、未読の人はみんな読むように。