出版社:新潮社
発行年月日:2017年12月20日
椎名誠 自著を語る
あるとき新潮社の書籍担当の楠瀬さんから電話があった。彼はぼくの書いたろくでもない記事の、どこか思いがけないポイントを見つけ、それをもとに巧みに一冊の本にして出版してくれる才能があり、この人から、突然ですが、という電話がかかってくると数か月後には一冊の本ができている、というたいへんすばらしい出来事になっている。彼はぼくの出しているいろんな写真がらみの本を見て、この人は「犬派」だな、と思ったらしい。猫よりも犬の方が圧倒的に写真が多いというぼくもあまり気が付いていないことに目をとめたのだ。外国の旅に出ると、犬がリードをつけずに実に自由に犬は犬の目的であちこち走り回っているのを見て、つい写真を撮ってしまう。そういうものの積み重ねが見事にこの一冊になったわけです。犬もぼくもうれしい。