出版社:新潮社
新潮選書
発行年月日:2017年06月25日
椎名誠 自著を語る
ぼくは約290冊ほど本を書いているらしいが、30代前半から70代後半まで書いたものまで、年相応にすばらしく良くかけた本と、一生懸命書いているのだがどうもまだうまく乗り切れていない、と書いていて自分でわかるようなものが混在している。小説でもエッセイでも評論でも、100冊以上書いたあとではそういう言い訳はもうできない。どれもこれもオモテムキは、精一杯ベストを尽くして書きましたと言っておいたほうがいいはずだ。それらの中でわれながら力を出し切ったなあと思う本が何冊かある。その一冊がこれである。SFもたくさん書いているぼくはSF書をたくさん読み、必死にものを考えてきた歴史がある。その中で非常に個人的な興味と趣味で書いた科学概説書(!)とでも言ってしまいたい一冊で、もうこれほど集中してこの周辺のサイエンスエッセイは書けないだろうと思う。(2020年語りおろし)