「木馬をつくる」

制作=1975年/16ミリ/8分/モノクロ

出演=沢野ひとし、椎名誠

ロケ地=千葉県・長浦

あらすじ

沢野ひとしと椎名誠が共同で木馬を作る。完成したところで二人の子供、葉ちゃんと岳くんが嬉しそうに木馬を揺らす、というもの。

椎名誠 自作を語る

16ミリで撮った「出来るまで映画」です。「出来るまで映画」というのは文字通り、なにかを作りはじめてからできあがるまでを撮った映画のことですが、ぼくは子供のころからこれが好きでした。娯楽性みたいなものはないけれど、着々と作業が進んでいって、状況が変わっていく過程を見るのは楽しいものなんですね。『佐久間ダム』というダム建設の記録映画などを見て、映画ジャンルに「出来るまで映画」というのがあることを知ったぼくは、自分でも何か作れないか考えました。ダムが出来るまではとてもじゃないけれど無理なので、沢野ひとしがそのころ千葉の木工所で作っていた木馬が出来あがるまで、を撮ることにしました。木工に狂っていた沢野と映画に狂っていた僕の共同製作となった初の16ミリ映画ですね。  沢野はなかなか手先が器用なので、三日ぐらいでとてもデザイン的にも優れた木馬を作ってくれました。それをモノクロ・フィルムで地道に追いかけて撮りました。作業を手伝ったりした関係で、一部、画面にぼくも映っています。  このとき作った木馬はいまだにうちにあって大事にとってあります。 (椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)

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