「うみどりのうたう島」
制作=1975年/8ミリ/18分/カラー
出演=沢野ひとし、目黒考二、依田正晴、高橋勲、椎名寛、山森俊彦
ロケ地=新潟県・粟島
あらすじ
新潟へ向かう列車の風景で始まり、かなり本格的な映画を予感させるが、内容はいつもと同じくひたすら飲み、食う、東ケト会のキャンプ風景。
椎名誠 自作を語る
『神島でいかにしてめしを喰ったか…』の映画づくりを通して、旅行映画のつくりかたがなんとかわかってきたので、粟島には初めからきちんとした映画をつくるつもりで準備をしていきました。 島へ向かうファースト・シーンから順番に撮っていって、もうやたらにめしを食うだけの映画にはならないよう、考えてつくりました。 やってることはやっぱり海に潜ったり、山に登ったり、焚き火をしたり、宴会で大騒ぎをしたりという、いつもとそう変わるものでもありませんが、きちんと考えて撮影したぶん、少しはまともな記録映画に近づいたと思っています。 東ケト会の、おろかにも猛々しい夏の数日間の記録としては面白いものに仕上がったのではないでしょうか。これは「あやしい探検隊」初の公式記録映画ですね。 いまあらためて見ると、この映画は結構名作なんじゃないか……と自分で思いました(笑)。でも、オープニング・シーンの列車の映像なんか、結構本格的だし、経験を積むうちに映画のつくりかたがどんどんわかりはじめてきたのは事実ですね。 (椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)