『地球の裏のマヨネーズ』

目黒それでは『地球の裏のマヨネーズ』です。ええと、赤マントの新刊で、2003年8月に文春から本になって、2006年8月に文春文庫と。このタイトルの意味は、「自著を語る」の中にこうある。

このちょっとヘンテコなタイトルは、ぼくの大好きなパタゴニアへの何回目かの旅から帰ってきた頃の話が書いてあり、その頃、パタゴニアではマヨネーズ娘という歌がはやっていた。マヨネッサ、マヨネッサ、とガウチョ(南米のカウボーイ)がひげ面で歌っているのがぼくには大変おもしろ楽しく、それがこのタイトルになった。

あと、「アヒ」というトウガラシをすりつぶした香辛料と、マヨネーズを一体化させた「アヒマヨ」という商品があって、それをカニにかけて食べるっていうんだけど、味が想像しにくい(笑)。

椎名説明もしにくい(笑)。

目黒意外だったのは、最初に馬に乗ったのは南米の辺境の地で、洪水のために馬でないと帰れなくなったときで、そのとき初めて馬に乗ったと。それで2日間ずっと乗っていたというから驚いた。椎名はずっと前から馬に乗っていたと思っていた。CMの影響じゃないけど、馬にのって北海道の草原を走っていたのかと思ってた。

椎名カウボーイじゃないんだから(笑)。

目黒洪水って何?

椎名春に氷河が溶けて、水が溜まったんだ。

目黒はい、それでは突然クイズです。

椎名なんだよいきなり。

目黒椎名が子供のころに欲しかったものが3つあります。一つは空気銃、一つは自転車オートバイ、それでは最後の一つは何でしょう?

椎名あっ、あれだあれ。ええと、ほら、あれだよ。

目黒この本の中に書いてあるんだけど。

椎名映写機!

目黒すごいね、覚えているんだ。この本では「シネマスコープ式の幻灯機」となっている。このさ、自転車オートバイって何?

椎名自転車にエンジンをつけただけなんだよ。ハンドルのところにアクセルがある。

目黒それ、違法?

椎名ちゃんとした商品だよ。

目黒中古品を改造するんじゃなくて、新製品として発売したってこと?

椎名昭和26〜27年ごろかな。

目黒ということは、50CCのラッタッタが発売される前になるのかな。そういう手軽な軽オートバイがなかった時代だ。

椎名子供が乗っても怒られなかったんだよ。免許がいらなかったんじゃないかなあ。

目黒本当かよ。千葉の椎名の周囲だけだろ(笑)。

椎名空気銃もみんな持って歩いてたよ。

目黒みんなじゃないでしょ、あなたのまわりだけでしょ(笑)。それでさ、子供のころにほしかったその3つをその後手に入れたの?

椎名いや、結局は手にしなかったな。空気銃だけは本当に買おうと思ったけど。

目黒えっ、子供でも買えたの?

椎名いや、大人になってから。

目黒大人になってまだ空気銃が欲しかったの? そっちのほうが問題じゃないのかなあ(笑)。

椎名ただな、すっごい面倒なんだ。手続きとその後のあれこれが。で、やめちゃった。

目黒あとは、缶潰しがほしいって話があるんだけど。

椎名それはその後、買いました。

目黒高いの?

椎名いや、2〜3000円だよ。

目黒じゃあ、すぐに買えばよかったじゃない。どうして買うまでにそんなに時間がかかるの?

椎名なかなか売ってないんだよ。

目黒ところで、その缶潰し、何のために必要なの?

椎名缶ビールを潰すんだよ。

目黒だから何のために潰すの? そのまま捨てちゃいけないの?

椎名潰すと容量が小さくて済むだろ。おれ、1日に5本は飲むから1週間で35本。それを潰さないとすごい大きさになっちゃう。潰すとゴミ袋1つでおさまる。

目黒そんなにビールを飲むやつって日本に椎名しかいないんじゃないの。だからあまり売ってないんじゃないかなあ。みんなが必要とするものなら、もっと売ってるでしょ。

椎名ぜひみんなも缶潰しを使ってほしい(笑)。

旅する文学館 ホームへ