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出版社:クリーク・アンド・リバー社

電子書籍

発行年月日:2014年03月28日

椎名誠 自著を語る

漂流記ものが好きだ。だから内外の漂流記はある時期集中して読み、新しい漂流記が出ると突撃するように走っていって買うような読み方をしたものだ。けれど漂流記というものはそうそうしょっちゅう出るものではなく、まず漂流した人がいて、その人が無事文明社会に帰ってこなければならないし、ある程度ものを書く力がないと成立しない。この本はそうしたレアな漂流記が手に入らなくなってしまった頃に、ある新聞から連載の依頼があり、それでは自分で漂流記をテーマに小説を書いてみようと思ったわけだ。ターゲットは中学生から高校生ぐらいにした。書いた本人が漂流したことがない漂流記だから、あまりリアルな話を書くのも意味がない。そこでSFの手法を使って思い切り発想を飛躍させた。青少年向けの面白話にしていくことに努めた。漂流記を連載として書くことは、多くの連載の中でも好きなテーマであるだけに毎回書くのが楽しかった記憶がある。ぼくにとっては幸せな一冊だ。(2011年 椎名誠 語りおろし)

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