キーホルダー

スコットランド

シーナ「あのさ…」

ニシザワ「はい?」

シーナ「これ、なんだか知ってるよな?」

ニシザワ「ええ、それはもう。一緒に行きましたからね」

シーナ「うん。このキーホルダー自体は、後年、照ちゃん※がお土産に買ってきてくれたものなんだけどさ。おれ、もうしゃべり疲れたから、お前まとめておけよ」

ニシザワ「いーっ?なんすか、それ」

シーナ「いいから。ちょっとビール飲んで休んでるわ」

ニシザワ「はい…。えーっと、これはですね、スコットランド北部、スペイサイドにあります「クライゲラヒホテル」というホテルの各部屋のキーホルダーです。大きさが15センチくらいありまして、ずっしりと重い。こんなものが部屋のキーホルダーというところがオシャレじゃありませんか。モチーフになっているのは、アトランティックサーモン。スペイサイドを流れるスペイ川は、フライフィッシィングの聖地なんです。川の名前を冠した“スペイキャスト”というキャスティング方法まであるくらいなんですから。ええ。そして、なぜシーナさんとこの地を訪れたかと言いますと、スペイサイドは釣りと同様に、ウイスキーの産地としても世界的に有名なんですね。スペイサイドだけでウイスキー蒸溜所が100近くもあるという。その取材で行った時に、この「クライゲラヒホテル」に泊まった訳なんです。うん、懐かしいなぁ。いい取材だったなぁ」

シーナ「終わった?ICレコーダーにひとりでブツブツとキモチ悪いね、君は」

ニシザワ「・・・…」

※照ちゃん…ご存じ、某読売広告社の局長。サントリーのウイスキーを担当していた時にシーナさんとともにスコットランドに乗り込んだ。あれは10年前。

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