出版社:角川書店

文庫

発行年月日:2010年11月25日

椎名誠 自著を語る

北海道の札幌に柏櫓舎というなかなか魅力的な名称の出版社がある。代表取締役の山本光伸氏は、かつてぼくと目黒考二が絶賛したロバート・ラドラムの『暗殺者』の訳者である。その人と奥さんがおこした出版社ということが次第にあとでわかってくるのだが、そこから出版の依頼があり、こういった全国地方の意気に燃えた出版社と組むのはたいへんファイトがわくものだから、喜んで引き受けた。ただし、書きおろしやどこかの出版社で連載でまとまった未発表のものなどはない在庫ゼロの状態だったので、ひとつひとつが単行本にまでいかない小シリーズなどを主にまとめてもらった。完成度という点ではいまいちだし、同じころに似たような新刊をたくさん出してしまったので、柏櫓舎にはたいへんすまないと思った。

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