出版社:講談社

発行年月日:2009年10月08日

椎名誠 自著を語る

『小説現代』にもわりあいぼくはコンスタントに連載小説を書いている。この本はいつもわれわれが集まっている新宿の居酒屋を舞台に、そこに集まる人々との交流をそれぞれのキャラクターや人生を混ぜ合わせながら書いていった。かなり長い小説になり、よくいう大河小説の気配もあるが、実際には大河という巨大な流れはなく、小さな川がいっぱい流れているというので「実録小川いっぱい小説」というサブのキャッチフレーズがついている。実際のぼくの周りにいる仲間たちのそれぞれ違った人生が最後はきっちり寄り集まってくるので、小川も集まればやはりそれなりの大きな流れになっている気がする。オビの後ろのほうに「おうい、みんな、あそぼうぜ!」という言葉がひとこと入っている。正しくぼくの人生のある断片をつかまれてしまったようで、いささかこそばゆいが、本当にそういうことなんだなあと、作者としてはへんに感心してしまったのだ。

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新宿遊牧民

出版社:講談社

発行年月日:2012/11/25

文庫

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