出版社:毎日新聞社

発行年月日:2008年07月30日

椎名誠 自著を語る

2007年8月から「サンデー毎日」での2ページエッセイの連載が始まった。週刊文春の赤マントシリーズは数年前から、「新宿赤マント」から「風まかせ赤マント」にタイトルが変わった。「サンデー毎日」でのいわゆる通しタイトルをどうするか、しばらく考えていたのだが、ぼくの好きなナマコをなんとかタイトルに入れたかった。数年前に和田誠さんと対談しているときにナマコの話になり、ぼくがどうしてこんなにナマコが好きなんだろうとつぶやいたとき、そこにいた女性編集者が「シイナマコトさんの中にナマコが入っているからです」と言った。なるほど当人はそんなことに気が付かなかった。担当編集者はワダマコトさんの中にもダマコが入っていますと言い、それもかなり衝撃的な発見だった。ナマコに比べてダマコはまずそうだねぇ、という意見も出て、まあぼくがその場では勝ったというわけだ。『ナマコのからえばり』はシイナマコトがからえばりをしているという深い意味があるのだ。二つの週刊誌に毎週毎週連載エッセイなど書けるのだろうか、引き受けるまでは不安だった。こういうときは目黒考二に相談する。自分が書けるという自信があったらそういう仕事はやったほうがいい、と目黒は言った。かつて野坂昭如さんも週刊誌2誌に長期間にわたって連載していたことをぼくも目黒も覚えていて、過去にそういうことをやった作家もいるのだから挑戦してみたらいい、という一言が大きな後押しになった。

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ナマコのからえばり

出版社:集英社

発行年月日:2010/08/25

文庫

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