出版社:幻冬舎

文庫

発行年月日:2007年02月10日

椎名誠 自著を語る

四十代の半ば頃、ぼくにはよくある発作的な行動で映画作りに突っ走り始めた。銀座に小さなオフィスを設けて、社員も募集し、本格的な映画プロダクションを作ったのだ。世間的には突発的とみられたようだが、ぼくは昔から映画作りにあこがれていた。映画のメカニズム(撮影とか映写など)のいろいろがとにかく好きだったのだ。小さい頃は幻灯機という、今思えばこの文字からして相当怪しく胸躍るような機械を自分で製作したりして、子供のころから傾倒していた世界だった。それの本格的な劇場で上映する映画作りを目指してプロダクションを設立したのだ。この本では小さなころからずっと進んでくるわが映画偏愛時代を詳しく追って書いている。今見ると、ああ、あの頃はわが黄金時代のひとつだったんだなあと狂おしく思う世界で、一言一句が懐かしい。

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