出版社:文藝春秋

文庫

発行年月日:2003年04月10日

椎名誠 自著を語る

「週刊文春」連載の新宿赤マントは、この頃になると精神的にも完全にルーチンワーク化し、けっこう締切がくるのが楽しい週もあったりして、自分でいうのもなんだが、我もプロになったなあ、などという恐れながらの自覚などもあった。このシリーズはいつもタイトルが難しく、独特の雰囲気、気配を通底させなければならない。本文とは関係なくても何となく読者がこれはあのシリーズの一冊だなとタイトルだけ見てわかってくれるようなものがいいのだ、と目黒がよく言っていた。だからたいてい10本ぐらいの候補を考え、目黒にFAXで送り、その中から選んでもらうということもルーチン化していた。このタイトルはその目黒にこういうのがもっともいいんだよとほめられ、うれしかった記憶がある。(2011年 椎名誠 語りおろし)

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