出版社:本の雑誌社

発行年月日:1997年12月20日

椎名誠 自著を語る

本の雑誌社の発作的座談会(四人座談会)の特別バージョンで、木村晋介、目黒考二、沢野ひとし、それにぼくを加えた四人が、沢野ひとしの描く絵について徹底的に検討解釈する一冊である。 沢野くんはぼくと高校が同じだった。教科書によくいたずら書きを書いていて、国語や社会の教科書がターゲットになっていた。自分の教科書が絵で埋め尽くされるとぼくの教科書に書いていた。そのころから現在にいたるまで、結果的にぼくの担当イラストレーターとなっているわけだから、モノゴトのつながりというものは面白いものだ。謎の多かった沢野絵も三〇年になんなんとする間にかなり深いものになったり、官能的なものになったりしてそれなりに大きく変化しているものなのだなあ、と思う。 (2011年 椎名誠 語りおろし)

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