出版社:講談社

発行年月日:1994年10月25日

椎名誠 自著を語る

ぼくにとっては珍しい写真をもとにした絵本だ。そういう目的をもってアヒルを撮っていたわけではなく、基本は福島県奥会津の山間部で、のべ一か月半にわたってアヒルを主役にした劇映画を撮っていたとき、スチール担当に古くからの盟友、垂見健吾さんがいた。永い付き合いで気心知れているから好きなようにあちこち動き回ってもらった。そのとき撮っていた膨大なアヒルの写真があり、それにやはり長い付き合いの当時マガジンハウスに勤めていた澤田さんが目を付け、写真絵本を思いついたのだった。膨大な数にのぼるアヒルたちの日々の姿と、結局はその生涯を、こんなふうな一冊にまとめてくれた。シンプルなタイトルと、ただもう静かに美しい当時の山里が組み合わさって、かわいらしい一冊になりました。

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