出版社:新潮社

文庫(『風の国へ』『駱駝狩り』に加筆の上、再編集・文庫化)

発行年月日:1994年07月01日

椎名誠 自著を語る

『風の国へ』『駱駝狩り』この二冊の本は写真集です。写真家になりたかったぼくにとって『アサヒカメラ』に連載を持つなんて夢のようでした。連載の依頼がきたときは本当に嬉しかった。締め切りが待ち遠しかった唯一の連載です。ぼくは写真をノートリミングで使用するのが好きなので、一冊まるごとノートリミングの写真だけで構成してみるのも面白いな、などと思いながら楽しんでつくった本です。この二冊は造本や体裁が似ていますが、これも一種のシリーズと見ていいかもしれません。まあ、スタイルはちょっとずつ変化していて、初めはフレームのふちをつけずにプリントしていたのが途中からふちをつけるようになったりしています。今はほとんどふちをつけていますが、このスタイルが定着したのは、やはり『アサヒカメラ』連載の「シーナの写真日記」を始めてからです。その方が写真がしまってみえるというのと、ぼくの写真はいつもノートリミングである、編集や印刷で操作してるんじゃないんだぜということを見たひとにわかってほしいからなんですが、わかってくれる人は……少ないですね(笑)。(椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)

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