出版社:本の雑誌社

発行年月日:1993年04月20日

椎名誠 自著を語る

この本の腰巻きは「ビールが飲みたくなる本」というものですが、これは誠にわかりやすく優れたコピーですね。本書はぼくと沢野ひとしがコンビを組んでやっていたサントリー・ビールの広告と太田トクヤが経営する新宿の居酒屋チェーン5店の広告をまとめたものです。『私広告』というのは私小説に対応させて目黒考二が作った造語。広告には私も公もへちまもないはずなんだけれど、この本は本当にごくごく私的な思い込みとこだわりで作った本で、その意味では風変わりで貴重な一冊といえるかもしれません。まあ、少なくとも類書はないといっていいでしょう。(椎名誠 新潮文庫 1996年『自走式漂流記1944〜1996』より)

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