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出版社:講談社

文庫

発行年月日:2016年07月15日

椎名誠 自著を語る

講談社でかつて『モヤシ』という小B6判の軽い小説を書いた。これは北海道の新聞に連載したものだが、本にするにはちょっと枚数が足りなかったので、そこに「モヤシ」以外に「モズク」という短編をくっつけて一冊にした。それがなんとなく話の底になっていて、モヤシ、モズクときたら次はナマコだと、まったく関係はないけれど、関係があるような気がして「ナマコ」という連載を始めた。これは前にも書いたが、「シイナマコト」の中に「ナマコ」が入っているという、運命的な素材なので書かざるを得ず、香港まで取材に行って『IN POCKET』という小さな雑誌に連載した。しかしどうもおはなしとしてはインパクトに欠けているような気がして、できればこのまま世間から忘れ去られてしまいたいと思っていたのだが、講談社の追及は激しく、8年目にして逃れられなくなり、かなり改稿し、なんとかモノになるようにした一冊である。表紙からして怪しいものになったので、ありがたき一冊である。

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