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出版社:PHP研究所

文庫

発行年月日:2015年11月24日

椎名誠 自著を語る

これは不思議な本である。1993年頃から3年ほど、ぼくは原宿にあるユニオン教会で二ヶ月に一回、2時間たっぷりの絵本についての講演をしていた。毎回10冊前後の絵本のテキストがあり、ある程度テーマにそってそれらの絵本を語っていったのだが、たいてい前半部分はそのテーマといくらか関係のある日常的よもやま話をしていた。後半は授業のようにテーマにそった絵本についての話になる。この本はその速記録をもとにして、目黒考二がその講演の前半部分だけを集めて一冊にしたものである。だから聞き書きのジャンルにもなるものだ。その講演の後半部分はクレヨンハウスから『絵本たんけん隊』としてまたべつの単行本になっている。どちらも優れた編集者がいたから可能になった二冊で、ひとつの講演をそんなふうに真っ二つに割って上下それぞれ独立して単行本にしてしまうなど、話をしているぼく自身にはとてもできないことである。 (2011年 椎名誠 語りおろし)

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